第948話 偽と嘘
「あのー、もしよかったら一緒に行動しませんか?」
まさかそんなことを言われると思ってもみなかったぞ。俺としては当然組む理由がない。だから声すら出さず首を横に振る。しかし、
「そこをなんとかできないでしょうか? 貴方も一人では大変でしょう?」
なぜ食い下がってくる。こっちにはメリットがひとつもないのに、というかデメリットしかないっていうのに。ってかなんで上からなんだ? そこからもう気に食わない。もちろん二度目も首を横に振る。
「そこをどうかお願
三度目はない。俺は三人組みの頭上をジャンプして飛び越えた。呆気に取られている彼らを置いて洞窟を出ようとした時、
「待ってください」
先程とは違う声色で呼び止められた。別にここで無視して外に出ても良かったのだが、ちょっとした興味本位で立ち止まってしまった。明らかにさっきと雰囲気が変わり声の主が別人かと思うくらいだったのだ。
「貴方も石化の魔眼を探しているのでしょう? 私たちと一緒じゃないと恐らく見つけることができませんよ?」
ん、それは聞き捨てならない発言だな。何故一緒じゃないと見つけられないと断言できるんだ? コイツらは何か手がかりを掴んでいるのか? 俺は振り返り話を聞く体勢に入った。
「ふふっ、やはり気になりますよね、石化の魔眼。でも、貴方は一生見つけられない。何故ならあることを知らないから」
男は気持ち悪い笑みでそう言った。というか後ろの二人の女性は大丈夫なのだろうか、こんな男について行って。心配はしてないが、単純に疑問感が強い。
「じゃあ、それについて教えてくれるのか?」
「いえ、私たちとの同行を断られたのでその話は無しです。貴方には死んでもらいます。ま、同行しても教えていなかったでしょうけど」
その瞬間、後ろの二人の女性が俺に向かって飛びかかってきた。
今ようやくこいつらの意図が理解できた。コイツらはPKだったんだな。そして、プレイヤーを殺す為にこの地に偽の情報で釣り、協力するフリをして殺しまわってたってことか。
「【爆虐魔法】、パワーボム」
俺は二人の女性の頭を吹き飛ばし、男に肉薄した。そして、首を掴み持ち上げた。
「一生見つけられないというのはどういうことだ? 教えるか死ぬか選べ」
「お、お、お、教えます! ここに石化の魔眼の持ち主が現れることは間違い無いのですが、それはある条件の元なのです! そ、それは……魔眼を使用することなんです!」
ふーん、ってマジか! 俺はずっと手元に鍵を持っていたというのに何度も無駄な洞窟攻略をしていたというわけか……そりゃ見つからない訳だ。
「そうか、ご協力感謝する」
「ほ、ほら言ったでしょ? だから離してくださいよ!」
んー今から魔眼を使うからなー。コイツはまさか俺が魔眼を持っていると思っていないからすんなり教えてくれた訳だし。
そうだ、情報提供してくれたことに関して感謝して殺さないけど、俺を襲ってきた、騙そうとしてきたことに対しては激怒しているってことにしてやっちゃおう。それなら俺の良心は全く痛まない。
「ってことで死ね」
俺は首を掴んでいる手に力を込めた。
「ってこt
男は目を見開いた状態で死んでいた。あ、理由を言ってなかったから何故殺されたのか分からなかったのか。まあ、いいだろうそれ含めて仕返しだ。
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