第945話 魔の瞳
石化の魔眼、かー。そういえば魔眼なんてあったよな、すっかり忘れていたぜ。そもそも俺の持っている麻痺の魔眼を最近使っていなかったからな。忘れるのも無理はないか。
そういえば麻痺の魔眼はアスカトルからもらったものだったよな? 魔眼について何か知らないだろうか?
俺はハーゲンに乗って石化の魔眼があるというネフォン王国を向かう道すがらそんなことを考えていた。
だが、実際にアスカトルに聞いてみても生まれた時から持っていたから、何も知らない、というエリートな回答が返ってきた。
でもまあ確かにそうだよな。もしアスカトルが魔眼を持っていたことで何か情報を得たなら、俺が継承した時にその情報も伝えられるはずだからな。
んーじゃあ結局事前情報は無しだな。まあ、今回の目的である石化の魔眼さえ手に入れられればいいんだ。そんなに気負う必要もないだろう。問題は競合がどれだけいるか、という問題だが……
「ここが洞窟か……」
俺は一人洞窟に立っていた。もしかして俺が一番乗りだったのだろうか。ハーゲンの空中機動力には流石に歩兵部隊じゃ厳しかったみたいだな。でも、ここに集まってくることは確かだろうから、チャチャっとクリアして俺の姿を見られる前にトンズラしよう。
一応、見られても大丈夫なように地獄で作った魔王装備ではなく、プレイヤー装備を着用している。まあ、この格好で見られれば違和感はないだろうが、一度イベントで見られているから、誰にも目撃されないに越したことはない。
相手が石化を使ってくるということもあり、俺は一人で洞窟を探索することにした。俺は最悪石化しても良い、むしろ石化して欲しいくらいだが、従魔は違う。石化したらその時点で死亡するかも知れないし、死ななくても石化を解除する術を俺は持っていない。
だから万が一に備えて従魔は連れていけないのだ。
ザシュ、ボゴッ、バキッ、ズブッ、ドサッ、
「……」
あれ? ちょっと待て敵が弱すぎないか? さっきから俺の一撃で死んでいくぞ? 麻痺の魔眼を使って敵の動きを封じて急所を狙っているっていうのもあるだろうが、それにしても脆弱すぎやしないだろうかか。
え、思い出したように麻痺の魔眼を使うな、って? いや、だってせっかくあるなら使っておきたいじゃんか、勿体無いし。それに、一眼見ただけで相手の動きを止めるってかっこいいしな。
「【麻痺の魔眼】」
あ、ただの岩だった。久しぶりの魔眼で使いたいという気持ちが強くなりすぎてしまったみたいだな。
でも、これは尚更石化の魔眼を他のプレイヤーに渡すことはできなくなったな。なんせこんなカッコよくて強いスキル、他の人には渡したくないからな。
いや、まあ独占するのは良くないっていう考えもあるだろうけどさここは現実世界じゃなくてゲームの世界だから良いだろ? 別に。
それに最悪どうしても欲しいって人がいたら上げるよ、仙術で魔眼に似たスキルとスキル譲渡できるスキルを作ってな。
そんなことを妄想している間に、俺は洞窟の最奥部へと到着した。人気がないのに松明が設置され明るくなっているということはまず間違いなくボス戦があるということだろう。さあ、石化の魔眼を寄越してもらおうか。
眼をバキバキに決まらせた俺の視界に入ってきたのは……ゴブリンキングだった。
「はぁ?」
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