第944話 親王とその後


 今までのことを改めて整理すると、霊体改編に必要な生命エネルギーというのは誰しも持っているもので、モンスターを倒せば俺は手に入れることができるし、公爵悪魔によると俺は既に結構持っているらしい。


 そして霊体改編で無理やり敵を倒すと生命エネルギーは愚か、経験値も手に入らないということが分かった。


 これは、先ほどまだこの城に残っていた悪魔に試してみたところ発覚した。やはりぶっ壊れチートなだけあって制約無しとはいかないようだ。まあ、それでも十分すぎるほど強すぎるのだが。


 因みに、霊体改編のために使われた生命エネルギーを補充するために、この城に残っていた悪魔は霊体改編を使わずに倒した。これで多分ギリギリ元を取ったのではないだろうか。


 まあ、まとめるとこんな感じだな。そして、これからの方針としては、まず悪魔の親玉を呼び出すために親王悪魔を全員倒すことだな。その為には残り三つの隠された城を見つけないといけない。


 そしてそれと同時並行で、霊体への攻撃手段を探さなければならない。霊体改編で倒すことができる、というのが分かっただけでも上出来だが、今後ずっと頼っていくわけにはいかない。


 経験値も入らないということは俺自身強くなっていない、ということでもあるし、悪魔の親玉に効かない、なんてことはなくとも要求される生命エネルギーが足りなくなる可能性は大いにある。


 つまり、そのエネルギーを確保する意味合いでも、親王は必ず霊体改編以外で倒さねばならない。


 そんな訳でまだまだやるべきことはたくさんあるのだ。


 でも、今はまだ城が見つかっていないから、霊体への攻撃手段の獲得、に注力していこうと思う。ってなわけで、


『もしもしー眼鏡くんー?』


『は、はいっ! いかがされましたか陛下!』


 そう、眼鏡くんとの情報共有だ。流石に如何に眼鏡くんと言えどもすぐに見つけることができるとは思わないが、俺一人で探すよりは二人で探した方が効率が良いだろう。共有しておいて損はないはずだ。


『悪魔の城、についてもう一度調べて欲しい。どうやらこの世界には全部で四つあるらしい。俺が今攻略したのはその内の一つだったらしい。今すぐに、ということではないからゆっくり調べてくれ』


『了解しました。あの、一つ耳寄りな情報を入手したのですが、「魔眼」について何かご存知でしょうか?』


『んあ、魔眼? 魔眼なら一つ持ってるぞ、麻痺の魔眼、それがどうかしたのか?』


『え、もう既に一つ持っていらっしゃるんですか!? さ、流石は魔王様です……そ、その魔眼なんですが、これも悪魔の城ではないですが、同様に世界各地にその所有者が存在しているようです』


『ふむ、それは都合が良いな。悪魔の城を探しつつ魔眼集めをしろ、というわけだな』


『い、いえ! そんな命令するつもりなんて一切ございません。ただ、情報を手に入れたから報告したい、というのと、』


『というのと?』


『この情報は既にプレイヤー側にも漏れているようです。私も尽力いたしますが、魔眼の一つ、石化の魔眼の在処が見つかったみたいです。まだ誰かが獲得した、という情報はないので、もし入手されるおつもりでしたら、急いだ方がよろしいかと……』


『マジか! それを早く言えよな!』


『す、すみません』


『すまん、別に責めているわけではない、むしろ伝えてくれて感謝する。因みにこれは相談なんだが、あ一応プレイヤーの格好をしてそこには向かうべきだよな?』


『え? は、はい。恐らく……』


『分かった。それで場所はどこなんだ?』


『はい、場所は私たちがいる国の隣、ネフォン王国のどこかの洞窟にいる、と伺っております』


『了解。俺が無事魔眼をゲットできたら褒美をやるから何が欲しいか考えておいてくれ』




『えっ!? はっ? はいっ!』

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