第940話 霊体とは


 えーっと、まずは攻撃手段からだな。敵の親王は今まで攻撃してきた感じで言うとほとんど霊体だと思う。ただ、俺の攻撃を完全にゼロにはできていないような気もするので少しは実体部分もあるのだろう。


 ただ、それだと相手が死ぬ前に俺の方が集中力切れで死にそうだから、ここはまず確実に霊体に攻撃できるスキルを作らなければならない。スキルを作る時に一番大切なのはイメージだ。それさえできれば良いのだが、この戦闘中にできるかどうか、だな。


 じゃあ回避に専念してその間に攻撃イメージを練り上げる作戦でいこう。敵の攻撃に集中していれば避けれないことはないはずだ。


「【分割思考】」


 よし、これで攻撃手段の作成に入れるわけだが。そもそも、霊体ってなんなんだろうか。この名称すら俺が仮に使っているだけで別に呼び名があるのかも知れない。そのくらい俺は霊体について何も知らなすぎる。


 先ずは霊体について自分なりに考察するところから始めるとするか。そうでなきゃそれを攻撃するスキルを作るなんて無謀すぎるだろうしな。


 俺は今、霊体と対になっているのが実体だと考えている。俺の体や従魔たち、それに位の低い悪魔たちは皆実体を持っている。じゃあ、新王は実体を持っていないかと言うと、さっきも言った通り持っている、と思う。


 ならば悪魔の王はどうだ? 公爵は今は眠りについているって言ってたよな。この世にいない、実体がない、そんなことを言っていたはずだ。ってことは、俺の理論で言うと悪魔の王は霊体で存在している、と言うことになる。


 霊体で存在するってどう言うことだろうか。実体が無くて霊体だけで存在する、それって幽霊ってことだよな? いや、でもこのゲームの話になるが幽霊を魔法とかで攻撃することは可能だ。だから純粋な霊体だけではないってことだ。


 そもそもここは霊界では無いのだから幽霊が霊体100%立ったら存在できないはずだ。つまり、幽霊はなんらかの力によって霊体が実体を獲得した姿、と言うことになる。そして、今まで俺たちはその実体に攻撃していたと言うことだ。


 あー、分かんねー。今から獄界に行って閻魔様に話を聞いてきたいくらいだ。でも、かなりイメージはできてきた気がする。ただ、これは実体の対、として考えているからどうも間接的なのだ。核心を捉えられている気がイマイチしない。


 結局、霊体とは何なのか、と言うこの問題に自分の中で納得できなければいけないのだ。


 でも惜しいところまではいってる気がする。幽霊と悪魔の王を比較してみよう、この両者の違いはなんだ?


 今までの俺は幽霊には攻撃できるけど悪魔王には無理だ。幽霊はこの世に存在してて悪魔王はしてない。この世にないものは攻撃できない、そりゃそうだな。


 ん、この世に存在していないのに、なんで俺はその存在を知ることができるんだ?


 普通、この世に無かったら知る由もないだろう、なのに知っている。俺が知っている、認知している、けどこの世には存在しないもの……


 現実世界で言うと、亡くなった人とかがそれに該当するのか? 偉人とかは会ったことも見たこともないけど存在していたことになっている。他には神様とかUMAとかも該当するのかも知れない。絶対に存在はしないだろうけど、確かに皆に知られている存在。


 それが霊体?


 霊体、って言うものが最初から存在するんじゃなくて、俺たちが認識することによって生まれているのが霊体ってことか? つまりは、霊体をあるものを認識するためのもの、って言い換えることができるかも知れない。


 認識するために必要なものってなんだ、知覚する為に必要なもの、知覚情報……


 霊体って情報そのものってことか?

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