第929話 ご都合つけます
「ふぅ」
今しがたゴブリンが出て行った。国民集めをゴブリン一人に任せても大丈夫か心配ではあるが、まああれだけの強さがあれば少なくとも大失敗はしないだろう。
そして、ゴブリンの武器に関してだが、お決まりの始まりの街で作ってもらうことにした。今、俺の分身を向かわせている。今回はお金を先払いするからこちらも安心安全なはずだ。
これでもう心配事は無くなった。国民集めも、それの報酬も用意できたも同然だからな。そして、俺が自分でやるべきことを人に任せているのには理由がある。
それは、面倒臭いという理由もあるのだが、一番は配下の強化だ。
ゴブリンを見ることによって改めてプレイヤーの成長の速さを実感した。それに追いつく為にはこちらもそれ相応の努力が必要になってくる。しかもそれが九体と堕天使の合わせて十二体分だ。普通にやっていては今はこちらが上回っていてもすぐに追いつかれてしまうだろう。
俺が魔王としている限り、やはり負けたくはない。配下誰一人として負けないような、そんな軍にしたいのだ。そりゃ当然相性や場合によっては負けることがあるかもしれないが、とにかく相手を畏怖させるような圧倒的な力が欲しいのだ。
それが俺の国造りにも活きてくるだろうしな。
というわけで、今回は悪魔の城、これを攻略していきたいと思う。
ハーゲンを殺した憎き仇にして大量の経験値が眠ってそうな悪魔の巣窟、これはクリアするほかないだろう。前回はどこか油断していた節があるし、ちゃんと俺が出張っていれば負けることはあっても従魔が死ぬことはないだろう。
特にハーゲンは一度死んだことによってかなり弱体化してしまっているからな。今回の悪魔城遠征でしっかりと強化して戻って来たい所だ。
よし、ってなわけで早速出発しますか!
「……」
悪魔城ってどこにあったっけ? そもそも俺ってどうやってそこに辿り着いたんだっけ? 悪魔城に何があったかとか、そこでの光景嫌でも思い出せるのに、そこへどうやって行ったのかが全く思い出せない。
くそ、俺は絶対に復讐をするって誓ってたのにもかかわらずそこへの行き方を忘れてしまうなんて、バカにもほどがあるだろ。くそ、どうしよう。こうしている内にも悪魔は蔓延り、誰かが城を攻略しようとしているかもしれない。
『もしもし、陛下様? 耳寄りな情報をゲットしたんですが……』
ん、陛下様? あ、メガネくんか。急に何事かと思ったぞ。彼から連絡があるのは初めてじゃないか? それほど重要なことなのか? だが俺にとって今一番欲しい情報は悪魔の城の情報なんだが、メガネくんがそんな都合よく持っているわけ
『なんと、悪魔城があるという情報が入ったのですが……』
『は?』
『あ、もしかして既にご存知でしたか? それでしたら申し訳ないです』
『いや、大丈夫だ教えてくれ。ちょうど知りたかった所なんだ』
『は、はい。ですが少々複雑な位置にございまして、王都から南西方向にダンジョンがあるんですが、その中のどこかに隠されているようです。申し訳ありませんがそこまでしか分かりませんでした』
『そこまで判明すれば大丈夫だ。後は私に任せろ。後で城に帰ってきたら褒美を与えよう』
『あ、ありがとうございます!』
うん、この子優秀すぎんか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます