第915話 テーマパーク
「おーこれは凄いなー!」
俺はただ今、魔王国空中遊覧ツアーを満喫している。ハーゲンから完成の報告が告げられて、俺も上からみたいと思い、空まで来てみると、圧巻の眺めだった。
先ず目を引くのがなんと言ってもこの、火山だ。圧倒的な大きさで存在感を放ち、この国に住むものには安心感を、外敵に対しては威圧感を放っている。うむ、素晴らしい作品だな、名付けるなら大地の憤怒って感じか? とにかくペレ、海馬ありがとう。
そして、次に目に留まるのは糸エリアだろう。物凄いアトラクションと迷路が合体したような見た目になっており、勝手を知っているものからすれば安全な住まいになるだろうが、ここに攻め込もうとする敵には、強靭な糸で粘着性でいく手を阻む。
骨と糸だけで形成されたそのエリアは正しく白亜の籠巣、って感じだな。アスカトル、アシュラありがとう。
そして、デトが作ってくれた毒沼。これは一見ただの毒沼に見えるかもしれないが、そこには多くの工夫が隠れていた。
毒の濃淡は当然の様に存在し、その上で更に敵を騙す作りになっているのだ。例えば、毒沼の上に一本道があるだろう? そしたら誰しもそこを通ろうとする。
たが、その道には落とし穴が仕掛けられており、、、ドボンだ。そんな仕掛けがそこかしこにあるのだ。ま、わざわざ毒沼に来ようって奴がどれくらいいるのか、って話にもなるが。
あ、そうだ。現実の下水道のように下毒道を作るのはどうだろう? 俺の国にいる限りどこにいても毒が入手できるって最高じゃないか?
それに、いざと言う時の逃げ道にもなるだろう。下毒道を通って毒沼に立て篭もればここを通らない限り攻撃できないはずだ。
ふふっ、俺だけしか知らない隠し通路とか扉ってワクワクするよな! 他にももっと作らせよう。火山のマグマ溜まりの下に俺だけ通れる抜け穴を作ったり、白亜の籠巣には俺だけ使える滑り台みたいなのを作ったり、これは夢が広がるぜっ!
「っておい!」
なんでこんなことになったんだ? 俺は居住地を作れって言ったよな? 誰がアトラクションを作ってテーマパークにしろって言ったよ。
火山とかあるし某テーマパークも震え慄いてるぞ? 色んな意味で。まあ、シンボルとしては中々良いものにはなったと思うからいいか。魔王城だけでなくて山を持ってるとなれば威厳もつくだろう。
それより白亜の籠巣、これはどうなんだ? いやまあ確かに住めそうだけど、俺の当初のテントってのが恥ずかしくなる出来映えだぞ? まあ期待を上回っていると言う意味ではいいのかもしれないけど、ちょっと敵襲を心配しすぎじゃない? そんなに襲われると思ってるのか?
毒沼も毒沼だ。それでもちょっとやり過ぎだろー明らかに侵入者拒む作りになってるじゃん。拒み過ぎてもはや、毒沼の中央に相当な宝でも用意しなきゃ誰でも近づけなくなってるぞ?
あ、でもこれは俺が指示したんだっけか。あー、なんか仕事を割り振ることが楽しくなって、謎な仕事を与えてしまったんだな。うん、じゃあデトは悪くないか。それに下毒道は我ながら良いアイデアだと思うから結果セーフだ。
最後に、ゼインが大地を焦がしたせいで生命の気配が一切無い。死の国よりも生の気配が無いってどいうことだ? いや、魔王の国としてはありなんだろうが、多分地下十メートルくらいにあった命は全部燃え尽きたんじゃないか?
でもまあ、これも俺が悪いのか。
え、じゃあこの死のテー魔パー苦は俺のせいってこと?? こんなよ全く想定してなかったのに!?
よしじゃあ、火山を噴火させよう。俺の国なんだからいけるよな?
『ペレ、別に鎖国してたわけじゃ無いけど開国祝いだ! 派手にやれ!!』
ッドーーーン!!
その日、プレイヤーは魔王国が誕生したことを嫌でも知らされるのであった。
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