第913話 危ない魔王


 ゼインという名前をつけると嬉しそうに、目を細めて蜷局を巻くように眠りについた。


 何もしてあげられてないのに好感度マックスって、なんか申し訳なくなってきたな。これからは一緒に狩りに行ったり、旨いもん食ったりしてちゃんと面倒見てあげなきゃだな。


 でも、そうなってくると他の従魔たちの面倒も見ないとだな。魔王として誰かを贔屓することはできないからな。そう考えると従魔が十体もいるって結構だよな、いつの間にこんなに増えたんだろうか。


 これから仲間にする際には注意しないとだな。というかもうこれ以上増やさなくてもいいよな? ちょうど十番目を冠するドラゴンがラストだし、なんかちょうどいいだろう。


 新たに増やすよりも今いる配下達に愛情を注ぐことを優先しよう。そうだ、久しぶりに皆んなの意見を聞いて回ろう、何がしたいのか、欲しいのか、要望を聞いてそれを全力で叶えてみてもいいかもしれない。んなわけで、


『おーい、一旦全員集合ー』


 ❇︎


 集計の結果、とんでもないことが発覚した。まずは結果から発表しよう。一番要望として多かったのが俺と一緒に狩りをしたい、これが半数の五票だった。そして時点でもっと強くなりたい、進化したいというのが三票で二位。強い敵と戦いたい、そして集計不可能がそれぞれ一票ずつという感じだった。


 ……お前らそんなにバトルジャンキーなのか? もはやジャンカーじゃねーか。お前らをこんな風に育てた覚えはないぞ?


 って、こんなこと毎回言ってる気がするな。いい加減俺も現実を受け入れよう、俺のせいだということを。


 まあ、かく言う俺もジャンカーなんですけどね?


 よし、じゃあコイツら全員の欲求を満たす為にちょっと遠出でもしますか。今の俺たちならリベンジできるだろうし、俺のハーゲンを殺してくれたお礼参りと行こうじゃありませんか。悪魔共々首を洗って待ってろよ、あぁん?


 それに、ゼインの初陣が悪魔の城っていうのも中々粋だろう。ゴリゴリに暴れてもらって気持ち良くなってもらいたいな。あと、どんな戦い方をするのかも非常に気になるな。


 後、俺自身も強くなっているからな。あの時みたいにはやられない。全身全霊で叩きのめす。


 じゃあ出発しますか!


「……」


 んーっと悪魔の城ってどこにあったっけ? 俺ってそもそもどうやって行ったんだっけ? 完全に忘れてしまったんだが、あそこってまだ行けるよな? 一回こっきりってことは流石にないよな??


 んー、全く思い出せないぞ? 流石にこれに関しては眼鏡くんも知らないだろうから頼ることはできないし……


 よし、じゃあ先に国作るか。そのうち思い出すだろ、うん。それかまた別のダンジョンとかでもいいしな。


 もしかしたら予想以上に悪魔が強くて、また敗北する可能性も無きにしも非ずだからな、うん。決して忘れたから行かないのではない、あくまで万全の状態を整えてから出発したいというだけだ。


 それに、悪魔と戦っている最中に国造りのことを思い出してもあれだしな。よし、国作ろ国、悪魔をぶっ倒すのはその後だな。ってことでまずはクエストの概要を確認しよう。


 ふむふむ、まずは領地を獲得しないといけないみたいだな。獲得方法は、金で買うか、無理矢理奪うか、らしい。そりゃ、無理矢理奪うでしょ、魔王なんだから。


 よしじゃあ、城の周りの土地をサクッといただきますか!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る