第908話 最後の
「ふぁー」
今日は待ちに待った、と言っても一日も待ってないが、プレイヤー乱獲の日だ。
そんなに待ってはないとは言え、この日の為に準備をしたのもまた事実だ。しっかり決まってくれるといいんだけどな。
今日は用事が無かったから午前中からログインしてるのだが、決戦の時は夕方くらいになるはすだ。
それまで、燐火を進化する為に必要な生贄を少しでも多く刈り取っておきたい。
もともと今日の対プレイヤー戦は燐炎を進化させる為の……
「あ、」
そうだ、そう言えば鬼火の進化条件って鬼火で敵を倒しまくらないといけないんだったよな? 別のスキルで倒しても意味ないんじゃ……い、一旦確認しよう。
【燐炎】‥怪しく恐ろしい炎を灯す。この炎は使用者の魔力量に応じて威力が上昇し、相手を状態異常:やけどにする。このスキルはこのスキルで倒した敵の数に応じて進化する。
はぁ、やっぱりそうじゃねーか。しかも俺の魔力量によって威力が決まるってことは、無限魔力を持つ俺の火は無限の威力なのか?
いや、流石に上限はあるだろうが、それでも俺の準備が無駄になってしまう。これじゃあ今まで俺は一体何の為に何をしてたんだ? ってことになる。
ん、いや待てよ。俺の魔力量によって威力が決まるんなら俺の魔力を極限まで低くすればもしかしたらいけるか?
そうじゃん、俺の無限魔力はスキルによるパッシブ効果だ。ならそれを封印すればいいだけじゃねーか。そしたらステ振りしてない俺の魔力は生まれたばかりの赤子と同じ量になるはずだ。赤子の威力の燐炎を食らわせた状態で、獄絡饒駑と重体渋滞で即死すればいけるはず。
……ふふっ、計算通りだな。
もちろん、想定内だ。後はプレイヤーが集まる時間まで暇を潰せば良いんだが、何しようか。最終確認事項としては、装備は炎魔の鎧に、以前同じく地獄で作ってもらったハルバートを携えていくこと、くらいしかないよな?
あ、そうだ。プレイヤーを呼ぶからには何か報酬、というかお目当ての物、があった方が良いだろう。万が一俺が倒されないとも限らないし。考えておいて損はないはずだ。
よし、じゃあまずは俺がやられた場合に、このハルバートをラストアタックを決めたプレイヤーに送ろう、これはなかなか良い武器だと思うから悪くないだろう。最悪使えなかったら売ってくれればいい。
ただ、それだけだと弱い。多くのプレイヤーは勝てないじゃないかよって思うかもしれないし、報酬をもらえるのが一人だけだとその他の人は頑張る気力を失いかねない。
ってなわけで俺が死んだ時、その場にいた全員に配れるようなものが何か欲しいな。んー、そうだ、もしものそんな状況になってしまった時は運営に何か用意させよう! そもそも、そういうのは運営がやることだしな、負けることを想定して戦う魔王がどこにいるって話にもなる。
あ、そうだ、折角なら俺が今進めているクエストに関して告知しても良いかもしれない。そのクエストには絶対的に人が必要になってくるだろうからな。
おー、これなら良い具合に俺が負けなくても皆には土産話をプレゼントできる。っし、これで準備完了だな。あ、そうだメガネくんに決まったことを言おうっと、
『メガネくーん!、、、』
かくかくしかじか、あーだーこーだどーのこーのと事情を説明すると、なんとか了解してもらえた。なんでも、もう既に情報を広めているから、それを上書きするのは結構大変だそうだ。まあ、魔王の装備と新情報、って言えばなんとかなるかも、って言ってたので大丈夫だろう。
これで本当に準備万端だ。あと数時間後にこの王都に地獄を顕現させようじゃないか。
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