第907話 重い体と渋い帯
相変わらず薄暗い店だなー。それに他の客も見当たらない。この店繁盛してないのか? 品揃えはそんなに悪くないと思うんだが。もっとコスパの良い店でもあるのだろうか?
まあ、他に客がいないならじっくりと選ばせてもらおうじゃないか。俺好みのデバフスキルをな。
まずは条件から確認していこう。必須条件として一番大切なのがどんな相手でも確実にステータスを持っていけるほどのマイナス量だ。
何より即死させたいからな、うん。
そしてその次の条件として欲しいのは多くのプレイヤーを巻き込める範囲だ。獄絡饒駑は多分単体攻撃だから効率が悪い。チマチマ敵を攻撃するのは大変だからな。
その二つに合致するスキルは….これだな。
「にじゅう、たい……? 変な名前だな」
【
名前は変だがこれは強いと思う。対多数に特化していて使いやすそうだし、きっちり俺が思ってる役目を果たしてくれそうだ。
奥にいる爺さんに購入の旨を告げると、やはり想定外の値段を叩きつけられられた。
久々にツケを発動させないといけないかと思ったが、確認すると俺は思ったよりも金を持っていた。多分、王様のクエストをクリアした報酬なんだろうな、こちらも予想外の金額を持っていた。
余裕で金額を一括で払うと少し驚いたような反応を見せたがすぐに譲ってくれた。よし、これで準備完了だな。
ーーースキル【重体渋滞】を獲得しました。
今すぐにでも使いたいんだが、メガネくんがプレイヤー集めるには一日かかる、つまりは明日までお預けということだ。
んー、でも使いたいなー。そうだ、モンスターに試し撃ちしに行こう。新しい装備もある事だし、初心者装備を着用しとけばまずバレないだろう。
よし、じゃあ早速森に向かおう。ここは始まりの街だから敵も弱くて試し打ちにはもってこいのはずだ。
「「「グルゥゥ……」」」
そんなわけで俺はただ今絶賛、大量のオオカミに囲まれてます。
一度になるべく多くの敵を相手にしたいと思って、適当にモンスタートレインしまくった結果こうなってしまった。
いや、こうなるようにしたのは俺だが少しばかり予想外というか、ちょっと多くね?
ま、まあ多ければ多いほど倍率が高くなるらしいし、しっかり聞いてくれるよな? ひとまず、囲まれている状況から無理やり脱出し俺の視界に全てのオオカミを入れる。
そして、範囲を指定して、
「【
俺がスキルを発動すると、数十体は居たであろうオオカミが全員パタリと倒れ、全滅してしまった。
え、つ、強くね?
いやいやいや、敵が弱いからこんな面白いように倒れてるだけだよな? 相手がプレイヤーともなれば絶対にこんなに上手くはいかないよな?
そ、そうだ、オオカミがパタパタと倒れる様が異様過ぎてちょっとビビったが大丈夫なはずだ、うん。
だから、そのー、チートとか思われたりしないよな?
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