第905話 魔王第二陣
相手のSTRとAGIを下げて、マイナスになったら問答無用で殺すって、なんだその地獄みたいなスキルは。これが地獄版極楽浄土ってことなんだな。
ん、このスキルを上手く使えばもしかしたら大量虐殺、なんてこともできるかもしれないな。帰ったら、色々と検証してみよう。
よし、でもこれで何はともあれ当初の目的だった装備を入手することができた。本当ならふらっと立ち寄ってパッと帰るくらいの心づもりだったんだが、まあこんなこともたまにはあるか。
……いや、ないだろ。まあ、いいや、さっさと帰ろー。
「【獄門橋】」
いやー、やっぱり自分でいつでも行き来できるってのは最高だな。あ、そうだ、もういっそのこと俺の部屋に常駐させておこうかな?
そんなこんなでおよそ数秒で俺の部屋に到着すると懐かしいお出迎えが待っていた。
「グルゥァアアアア!!」
そこにはなんとドラゴンがいた。そうだった、コイツは俺の直属護衛としては俺が燐炎で作ってあげたんだったな。すっかり忘れてたぜ。
炎で暖かい喉元を撫でてあげるととても気持ちよさそうにした。ずっと放置しててごめんなー、俺だって忘れてたわけじゃないんだぞ? 失明しなかったらもっと可愛がってやれたのにな……
喉元から次は頭、背中とワシワシしていく。まあ毛が無いからフワフワの方が近い気もするがな。
そうこうしている内に俺の誠意が伝わったのか、とても穏やかな顔つきに変わった。そうだよなー、ずっと帰ってこないご主人様をずっと待ってたんだよな、無茶苦茶偉いよな。
よし、褒美をあげよう。
でも褒美って何が喜ぶんだろうか? 多分飯は食わないだろうし、食っても油とかだろう? それもオリーブオイルみたいな良質な奴か、重油のようにドロドロしてる奴か。
どっちも食べてくれそうだし、なんならそれによって進化先も変わりそうだ。でも今は持ち合わせがない。俺は今すぐにコイツに何かしてあげたいんだ。
ここで何もしなかったら今度こそ忘れちゃいそうだしな。
進化はアリだな……強制進化も悪くはないがどこか引っかかる。何か根本的なことを見逃してるような。
俺はご褒美を考えている間、無意識にひたすらわしゃわしゃしてたので、ドラゴンの喜びがピークに達したのか、
「グルォオオオオ!!」
と、俺に向かって火を吹いてきた。いやまあ俺だからいいけど、他人にはあんまりすんなよな? 死ぬから。まあ、それで言うと俺のペットをわしゃわしゃさせる権利があるのも俺しかいないんだけどな。
ん、炎? そういえばこのドラゴンも炎、燐炎で作ったんだよな? ってことはその燐炎を進化させればコイツも進化するのか?
ありそうだな。よし、じゃあ少し待っとけよ、今すぐ俺が燐炎を進化させてくるからな。お前をワンランク上のドラゴンにしてやるっ!
燐炎を進化させるのには大量虐殺すればいいだけだから……
『メガネくーん、魔王が王都に出現するって宣伝してくれない? 緊急大型レイドって言えば集まってくるだろ? 兎に角人を集めて欲しい。どんな宣伝文句でも構わないからな。んじゃそんな感じでよろしく!』
え、ちょ、えーー!! というメガネ君の声が聞こえて来そうだ。が、ガン無視だ。コレくらいのことは彼ならできる! はずだ。
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