第904話 閻魔の装備
閻魔の野郎がどっかに行ってくれたことで俺はようやく装備を受け取りに行くことができるようになった。
そもそも、現世の国王再建クエストの報酬がまさかのお飾りだったからその記憶を塗り直すためにこっちに来たって言うのに、手合わせやら蒼火やら獄界を支配下におくやら、色々ありすぎなんだよな。
だが、それもようやく全部終わってくれた。あとは装備を取りに行くだけなんだが、、、
「どっちだっけ?」
ただでさえ方向音痴の俺がたまにしかこない地獄のマップを覚えている筈もなかった。流石にここで手間取るのは頭がおかしいと思ってしまうので、有識者に意見を求めた。
「おい、ヴァール、俺が装備を頼んでた鍛冶屋の場所分かるかー?」
「はい、分かりますよ。私に付いて来てください」
おー流石に優秀だな〜。初対面の時からできる印象があったんだが、それは間違っていなかったんだな。実力も獄界きってのものだし、もしかしたらなんか訳あって獄界序列四位にいるのかもしれない。
例えば、そうノルマを達成するのが面倒臭いとか、そんなことなら全然ありそうだ。
そして導かれるままに歩いているとどこか見覚えの……いや見覚えは無いな。俺、こんなところで依頼したっけ? と言うような場所に出てきた。しかし、店員はこちらのことを覚えてくれていたようで、
「おー! ようやくきてくださいましたか! 依頼されたものは既にご用意できておりますよ、ささ中へお入り下さい」
とそうもてなされた。なんだか丁重に扱ってもらってる気がするんだが、これが閻魔に勝った恩恵か? ……流石に違うか。
「こちらが、お客様が依頼された装備にてございます」
そう言って見せられたものは……
「かっけー」
無茶苦茶カッコいい装備だった。地獄を思わせる赤黒をベースに鈍い金属光沢のようなものも放っていてとても格好良い。
頭からは二本の角が生えており、バケモノみたいだがそれもまた良いのだ。細部にまで細かな装飾が施されており、文句の付け所がない一品になっている。うん、これは地獄に頼んで正解だったな。
今までの時間がチャラになるくらいの素晴らしさだ。もしかしたら今までの時間があったからこその喜びなのかもしれない。兎に角、俺はとても満足している。
だが、装備は見た目だけではない。いや、見た目だけでもとても満足しているんだが、性能がゴミだったら笑えないからな。まあ、多分どれだけ酷くてもこの見た目なら装着するんだろうけど。
・炎魔の鎧 伝説級
地獄の鉱石が獄炎によって精錬されてできた防具。地獄の恐怖と灼熱の炎を感じさせる。職人の技によって最大限素材が生かされている。この防具を装備時、冥界に行ったことない者へ圧力を感じさせ、スキル【
つ、つえー。な、なんだこれ。
【
……は?
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