第901話 フラット濃度
俺は無事に国王として復活できた王様たちと分かれ、その足で地獄に来ていた。獄門橋を手に入れてからはヴァールに頼らなくても自力で地獄に行けるから非常に便利だ。
それにしてもなんだか久しぶりだな、地獄に来るのは。ちょくちょく来ている気がするんだが、滞在時間が短いのか、地獄にいない時間が濃ゆすぎるせいか、あんまり来てる実感はないんだよな。
でもそれはここにいる時間が濃ゆくないってわけじゃないんだよな。
「おぉー! 久しぶりだなー魔王!」
早速地獄で一番キャラが濃ゆい奴に遭遇してしまった。なんで、閻魔がそこら辺を普通に彷徨いてるんだ? お前ここのボスだろ。ふらっと地獄に立ち寄った奴に殺されたらどうするんだよ。
「最近顔見てなかったが何してたんだ? 死んでたのか?」
んー死んでたっちゃ死んでたな。いや失明もしてたな。国をある意味滅ぼしてある意味復活させた。
「んー、まあ色々あったんだよ」
「そうかそうか! まあコッチにきたってことは一回やるだろ?」
ん、何を? そんな一杯やるだろ? みたいなノリで言われても困るんだが。まあ仮に現実で言われたとしてもコミュ障の俺には断る以外の選択肢はないが。
まあ、ここは現実じゃないから断らなくても良いんだが、、、
「おい、何ボサッとしてるんだ? ほら行くぞっ!」
って感じで無理やり連れて行かれた。あ、もしかしてここにあんまりきてない気がするとか言ったのが不味かったのか? いや、お前も充分濃いから、濃いからー!
「よぉーし、というわけで、お前らぁー! 魔王が来たぞー、手合わせしてもらえー!」
え、手合わせ?
「アイツら最近弛んでるからよー。ちょっくら揉んでくれ」
俺は閻魔にそう言われた。満面の笑みで。
でも、満面の笑みのくせに目だけ笑ってない気がするんだが。俺の気のせいか? 気のせいだよな?
❇︎
「ふぅー」
疲れた。まさか地獄に来て早々にこんなハードなことさせられるとは思ってなかったぞ。閻魔の精鋭達相手に連戦は流石にキツかった。しかも、殺さないようにしなきゃだから結構神経使うし。
後、コイツら地味に強くね? 流石に閻魔の手下だけあって地力が高い気がする。それにしっかりと鍛えられてる感じもする。これで弛んでるってどんな強さをプレイヤーにぶつけようとしてるんだ?
その中でも特に獄界序列一位から四位までが特に抜きん出て強いな。一位から四位の中ではそんなに差はない感じだったが、ヴァールなんか嬉々として俺に襲いかかってきてたぞ? アイツは一体どんな心境してるんだ?
まあ、流石に負けはしなかったけど、気迫という点においてはヴァールが一番ヤバかった気はするな。
そして最後に閻魔の奴まで俺と戦ってきたのはビックリしたな。お前は皆んなのお父さんポジションじゃなかったのかよ。目を一番輝かせて突っ込んでくんなよー。
でもこんだけ戦ったらもう当分の間は大丈夫だろ。今日はこんな所でお暇させてもらおうかな。
そんなわけで俺がそろーりそろりとその場から退出しようとすると、
「ふぃー、いや戦った戦ったぜー! スッキリしたなー! お、そういえばなんでお前はコッチに来たんだ? 何か用があったのか? まあ、用が無くてもきて良いけどな!」
閻魔が知ってか知らずか俺に声をかけてきた。俺はもう帰りたいんだ、もう戦いたくないんだよ!
「あ」
そういえば俺がここに来た理由って……
「ん? もっと戦いたいのか? それならこの俺様が
「装備!!」
「ん、蒼火!!??」
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