第900話 頂を目指すもの達(別視点)

前半がザクロさん、後半がウィズさんです。

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「で、結局なんだったの?」


 私たちは新大陸に来て、結果何も成果を得られなかったわ。国に魔物が攻め込んでいてクエストの気配と思って精一杯戦ったのに、結果少しの報酬しかもらえなかったし、全くついてないわ。


 一つ収穫があったとすれば、それはイチゴの海神魔術ね。あれは本当に凄いわ。私を軽々と超えていくポテンシャルを秘めてる。まだ本人は気づいていないみたいだけどあれは鍛えれば化けるわね。


 それに、ハクちゃんもものすごい強くなっていたわね。彼女がいなければ私たちは何度死んだことか。今回の影の功労者は間違いなくハクちゃんね。それに、彼女が守って、私たちが魔法で戦うっていう戦術が見えてきたし、この調子でまだまだ私たち強くなれそうだわ。


 だけど気になる点が一つ、それはそう、私を唯一負かした男がその場に居合わせたってことね。


 いや、別にそこにいたことに関しては何も怪しくはないわね。別にただただ偶然彼もこの新大陸へと通ずる情報を見つけてやってきた、というだけのこともある。


 ただ、彼が登場してから、退場するまでその行動と状況に違和感しか感じなかった。


 彼が登場した瞬間、あの場が凍りついた。それはただ単に彼のオーラが強すぎて魔物たちも一瞬驚いた、と説明ができそうだけど、私には彼がどこか間違って出てきたように感じられたわ。


 それにそこから一気に魔物たちが弱体化したように感じたし、彼の行動全てが胡散臭く見えたの。どこか演技しているような、そんな感じ。


 そこからどこぞの騎士団かなんかが現れてあっという間に魔物たちを倒してしまって、クエストのようなものは終わってしまったわ。それで報酬もショボかったし、もう本当に無駄骨って感じね。


 ただ、新大陸というだけのことはあってそこそこ敵のモンスターも強いからここで当分レベル上げと連携強化ね。あの後彼に会ってないんだけど、次戦うことになったら絶対に負けないわよ。


 そして、イチゴにも強いお姉ちゃんじゃなきゃね。確かに海神魔術は強いけど、私ももっと強くならなくちゃ。


 私が必ず、最強のプレイヤーになるんだから。


 ❇︎


「こ、これは一体何事だっ!」


 私はただ今、お叱りを受けております。大人にもなって、しかもゲームの中で怒られるとはまさか思ってもいませんでした。


 いやー、しかし参りましたね。まさかこのクエストに失敗してしまうとは。誰が私たちが攻め込む場所に魔物が蔓延っていると思うでしょうか。それに、私たちの宿敵に加えて第一回イベント優勝者とそのお連れさんまでいるとは夢にも思っていませんでした。


 ここ新大陸の情報は我々が独占しているとばかり思っていたのですが自惚れていましたね。あの人だけではなく、ここまで情報が漏れているとは……


 彼と女性陣は国の防衛側についていましたからしっかり報酬も受け取っているでしょうし、ますます差が開く一方ですね。


 差を大きくつけるもりが逆に引き離されてしまうとは笑えないですね。これからはもっと地道にしっかりと自力をつけていく他なさそうです。


 頂上決定戦から私は少し浮かれていたようですね。また一から始めるとしましょう。私は諦めだけは悪いですからね。いつか必ず一番になるのです。

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