第893話 想定外の想定内


「ちょ、ウィズさん! なんか蜘蛛の魔物と変な魔物が大量にいますよ? なんなすかコイツら!」


 私はただ今、緊急事態に見舞われております。


 それは遡ること数分前。


 ❇︎


「では皆さん、開始してください。この国内にいる人たちを支配するのです! あまり推奨はしませんが、やむを得ない場合は殺しても大丈夫です」


 私のその一言で開戦が告げられました。もちろん、襲撃対象の国民には戦争するつもりはないと思われますが。


 国内に武装した勢力が雪崩れ込んで来る、それだけで大きな脅威です。しかも、殺害も辞さないと分かればもはや抵抗の意思は消え失せるでしょう。


 私はそう考えていました。しかし、何事にも予想外は付き物のようです。


 なんと、その国に魔物の集団が襲ってきたようです。なんと言う最悪のバッティングなんでしょうか。考え得る中でもかなり悪い状況なんじゃないでしょうか?


 でもまあ、敵が魔物であるならこちら側も容赦なくしなくてすみますからね。まずは全力で邪魔者を排除しましょう。


「皆さん! 魔物に手加減は必要ありません! それが結果的に国民に力を示すことになります! 思いっきりやっちゃってください!」


「うっしゃああああああ!!」


 と、どこかで聞こえた気がしましたが気にしません。メールでも伝えたのでこれで恐らく大丈夫でしょう。


 まあ、これくらいの想定外は想定内です。このまま押し切ってやりましょう。


「ちょ、ウィズさん! 何故か俺たちの攻撃が全く効いていないっぽいです! どれだけ攻撃してもまるで意に解する様子がありませんっ!」


「なにっ!?」


 そ、それは予想外、というか信じられませんね。私たちは決して弱くはありません、むしろクラン抗争イベントでは準優勝という成績を残しています。


 そんな私たちに対して攻撃を無効化するほど敵が強いということですか? ですが、どんなに実力に差が合ったとしてもダメージは蓄積していくはずですよね? なのに、何故? それともまだ蓄積が足りていないだけ?


「全員に通達します。皆さんは集まって闘い、常に一対多の状況を相手に作らせるようにしてください! 各個撃破ならば数の有利を取っている我々が必ず勝利するはずです! 落ち着いて冷静に立ち回ってください!」


 一先ずの戦法はお伝えしましたが、これがどこまで通用するのか……これは思ったよりも手強い相手のようですね。しかしそれにしても何故、このタイミングで? しかも敵は何故


「う、ウィズさん! と、とうとう敵が反撃をし始めました! 今までは何故か反撃せずにどちらかというと進軍をメインにしている節がありましたが、とうとう目をつけらました! ど、どうしましょう!」


 こ、これは不味いですね……私が危惧していたことが起こってしまいましたね。そもそも何故、このモンスター達は攻撃していなかったんでしょうか?


 考えても仕方がありませんね。私も出動致しましょう。このクエストは必ず成功させて見せます!

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