第885話 来世の希望
「う、うぅ……」
恐る恐るまぶたを開くとそこには、天井があった。そして、俺は今、ベッドに絶賛横たわっている。これは、賭けに勝ったと言っても良いだろう。ここは、あの寝室だ。
床に目をやるとうっすら血痕が見える。うん、間違いなく俺と騎士長含む護衛が寝てた寝室だな。
そして、そう、俺は先ほど天井が見えたのだ。つまり、視力が復活している!
「きたー!!」
これには俺もガッツポーズをしてしまった。だって、かれこれ結構長い間目を封じられていたんだぞ? 喜ぶなという方が無理があるだろう。
俺が両手を掲げ天を仰いでいると、ガチャ、という音とともに誰かがこの場所に入ってきた。今は、一番誰かに見られたくない瞬間だったから少し気分が落ちるが、それくらいは気にしない。だって、俺には誰が入ってきたのか一眼でわかるんだからな!
ドアの方へ向き直るとそこには騎士長がいた。そして、俺を見るなりその顔は驚愕に染められた。
「はっ、ま、まさか……! お目が治られたのですか?」
俺の目が開いていることにビックリしたのだろう。だが、実は俺もビックリしていることがある。俺は今この瞬間初めて騎士長の顔を見たのだ。そして、その顔は、、、
クソイケメンだった。
は、え、なんかめっちゃカッコいい、というか渋いじゃねーかよ! なんかこうもっと中間管理職です! みたいな顔を想像してたのに、しっかりと髭もそって、髪も整えられてビシッと決まってるじゃん! それこそ、一言でいうならイケおじ、だろうか。
これで騎士長とか引く手数多なんだろうな、いや、この世界線ではもう既に妻子持ちだという可能性も大いにあるか。くっ、なんだか見る目が変わっちまうな。まあ、今までは見てなかったんだから当然っちゃ当然か。
はぁーなんか、少し裏切られた気分だな。まあ、こっちが勝手に期待、いや妄想してただけだ。騎士長に嫌な感情を持つのはお門違いもいいところか。
え、ってことは王様は……?
「……ふぁっ!?」
俺が王様達の元にいくと、そこには見目麗しい王妃と、とても可愛らしいお姫様がいた。そして、ということは当然そこにドイケメンの王様がいた。
はぁ、世の中見えなくても良いことって沢山あるんだな。むしろ見えないからこそ自分で補って、都合の良い理想像を生み出せるから、逆に何も見ない方が良いのかもしれないな。
まぁ、それは極論過ぎるが、王様の顔を認識してしまったことで俺のテンションが少なからず下がったことは事実だ。
というがなんで俺のテンションが下がってるんだろうか。俺自身、そっちの気が全くある訳でもないのに。
むぅ、解せぬ。
王様達がイケメンなのもそうだし、イケメンに対してテンションが下がる自分にも解せぬ。
よし、ここは気持ちを切り替えて死にまくろう。リスポーンは無事にできることが分かったしな。作戦実行日まで軽くステータスをあげておこう。
そうすればきっと、雑念も消えてくれることだろう。
「ふぅー……」
俺も生まれ変わったらイケメンにならないかなー。
俺はそんなしょーもないことを考えながら死に続けた。因みに方法は首吊りと、心臓抜き取りと、焼死をローテーションしている。
周りの人の目は勿論気にしてない。
—————————————————————————
私も来世は誰もが羨む、とまではいかない実力隠してる系主人公くらい格好良くなりたいですね!()
イケメンになったらなったで、他のものが欲しくなるんでしょうが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます