第881話 意外な援軍?
「私がお手伝いして差し上げます」
そう、俺が全力でバックアップするのだ。俺の中では手伝うことは決まっていたことなんだが、それを明確に意思表示することによって、提案をしやすくなるからな。俺の意見も聞いてもらいやすくなるかもしれない。
「だ、だがどうやって私を手伝うと言うのだ? 先程の従魔には多少驚かされたものの、それだけであろう? 確かにお主の戦闘力は高いかもしれんが、それだけでは無理なのだ」
それだけ、か。確かに王様の目から見たら強そうな従魔を従えている、少し強いけど目が見えてない奴、程度なんだろうな。まあ、別にそれが間違っているとは言わない。事実、目が使えないんだからな。
だが、目が見えないと言うのも先天的なものではない、ただの状態異常だ。つまりはいずれ治る。そして、俺の従魔も俺の強さもまだまだこんなものじゃない、だから王様の力になれる筈だ。
だが、これでもまだ足りないと感じるだろう。ただ強いだけでは王にはなれない、確かにそうだからだ。
王というのは民衆の支持を得ることによってのみ成立しうるのだからな。まあ、独裁政治とか恐怖政治とかは別なんだろうけど。
だが、俺がいればそれすらも解決できるのだ。
方法は古典的なものだが、俺の従魔たちでマッチポンプを演出し、その上で王様が俺を引き連れて参上し、国に蔓延るモンスターを撃退する。そうすれば間違いなく王として認められるだろう。
まあ、国民を騙すことにはなるが、そこは知らぬが仏でいきましょう。
俺の作戦を王様たちに伝えると、
「ふむ、それならば確かに可能かもしれないな。だが、それだけで本当にうまく行くのか? そもそも、そんな強力なモンスターを用意できるのか?」
うんうん、いつに無く慎重な様子ですね王様。でもまあ確かにバレたらもう二度と復帰できなくなるだろうし、チャチャなモンスターの侵攻程度であれば普通に民衆の手によって止められてしまうかもしれない。
だが、その点は安心して欲しい。しっかりと考えてあるのだ。
「えぇ、まずモンスターに関してですが、私には他にも強力な従魔を従えております。彼らに沢山のモンスターを引き連れてきて貰えばかなりのモンスターを侵攻させることができると思いますよ」
「そ、そうであるか……だ、だがな」
まだ迷うか。それもそうか、自分だけじゃなくて家族もいるんだしな、ここでミスったらもう王にはなれないことを考えれば当然か。
魔王勅命で無理やり言うことを聞かせてもいいんだが、それでいいのか、って問題もあるし、何よりこの場全員同時にかけることは恐らく不可能だ。だからできれば自分で決断して欲しいんだが……
「う、うむ、うううむ」
なんか漏れそうな顔して悩んでるぞ? そんなに悩むことか? まあ、気持ちは分かると行ったが、ここまでくるとあれだな、もうクエスト的にあともう一つ根拠を出さないと先へと進めない仕様になっているんじゃないかと思えてくるレベルだぞ?
だが、後一つ根拠かー。確かに後一押しって感じはするんだが、俺も全てを出し切った感はあるからなー。ここでモンスターがいくら強いかとか説明しても無駄だろうし、どうしたもんかな。
俺と王様が二人して悩んでいると、思わぬところから光明が差した。
「ねね、パパー」
「うをっ、す、ステラか。どうしたのだ? 今パパは大事な話をしているからね、ちょっとの間いい子にしておくんだよ?」
「んーんー、パパ、この人すごいんだよー。だからバイバイしちゃだめー! すてら、バイバイはいやー」
「す、ステラ!?」
「パパ、この人いないとだめなのー、だからバイバイだめー」
「す、ステラ……よし分かった。ここはステラの言うことに従おう。どうせこの案に乗らなければ王に戻ることは無理だったのだ、ならば最後の賭けに出るしかあるまい。もし、失敗してもステラさえいてくれれば儂は大丈夫じゃわい」
す、ステラちゃん!?
まさかの援軍に驚きつつも、話がまとまってくれた。まさか、俺が幼女に助けれらる日が来るとは、、、人生、本当に何が起こるか分からないもんだなー。
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