第872話 パワハラする無能上司
『おーい、メガネ君ー!』
『は、はいっ! 魔王陛下、如何なさいましたかっ!?』
俺が呼びかけるとすぐ様そう応じてくれた。返事が早いのはポイントが高いな。
『調子はどうだ?』
『そ、そうですねー。現在、第一、第二階層のリフォームが完成したところです。今回、多くのプレイヤーを呼び込む、と言うコンセプトですので、第一層を1から20レベルまでのプレイヤーを対象に、第二層は21〜40レベルまでのプレイヤーを対象に、とように各層でターゲットとなるプレイヤーを想定しながら進めている次第であります」
む、こいつデキる奴だな。そんなロジカルに城を設計しようと思ったことないぞ? でも、確かにこれなら初心者から上級者まで幅広くカバーすることができるな。つまり、魔王城で戦うことが、魔王へと繋がるってわけだな。
第一層から誰も寄せ付けない城も悪くないが、こう言うのもまた悪くはないな。
ここで培ってもらった経験値をここで回収する、完璧の流れができることになるだろう。何の気無しに頼んだことだったが、上手くいきそうで良かった。
にしてもモンスターとかはどうやって調達してきてるんだろうな。俺ですら手こずったのに、何かいい方法でもあったのだろうか?
まあ、その話は置いといて今は俺の目のことに関して聞かなければ。
『ああ、それと聞きたかったことなんだが、確かメガネを掛けているだろう? そ、そのーリアルの方でも掛けてたりするのか?」
や、やべー。つい、現実のことを聞いてしまった。ヴァーチャル世界で現実のことを聞くのは確かマナー違反だったよな? 俺も途中で気づいたんだが動き出した口は止まらなかった。これ、パワハラにならないかな?
『え、あ、はい。掛けてますが、それがどうかされたんですか?』
『いや、その今、俺目が悪くなってしまったんだが。その解決方法が知りたくてな。視力ってどうして悪くなるんだ?』
『だ、大丈夫ですか!? っと……失礼しました。視力、ですかー。遺伝的な要因もかなりありますが、近くのものを長時間みたりすると近視になりやすくなりますね。他にも遠視、乱視など様々な症状があるので陛下の症状を見なければなんとも言えませんが、多くの場合は目の筋肉によるものだと思います』
俺の症状はそのどれでも無くて、もうほぼ全盲なんだよな。でもそんなこと言ったら魔王の威厳なくなっちゃうよな? せっかく今は陛下って慕ってもらってるんだから、これは言わなくてもいいな。それに、貴重な情報もゲットした。なるほど、目の筋肉かー。
『貴重な情報、感謝する。また、何かあれば連絡する、それまで城の改造に励んでくれ』
『はい、ありがとうございます! 陛下も、ご武運を!』
そう言って通話は終了した。うん、俺は良い部下を持ったようだ。これからは大事にしないといけないな。
ん、そういえばメガネくん名前なんて言うんだっけ?
「……」
どうやら彼はとても悪い上司を持ったみたいだな。良い上司にならなくては……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます