第866話 寝たいのに寝れない奴
「……」
俺はただいまベッドに寝そべっております。とてもフカフカで気持ちが良いです。でも、いつまで経っても寝ることができません。
そういえばゲームで寝たらどうなるんだ? そのままログアウトすることもできるんだろうが、わざわざそこまでする人は稀だろう。まあ、ログアウトの為に宿を借りるくらいが関の山だろう。
なら、今のこの寝させられてる状態って何待ちだ? あくまでイベントの最中なんだろ? 流石に強制ログアウトはないだろうし、これから何かあるのか?
「……」
暇だな、まるで寝たいのに寝れない時みたいだ。どのくらい時間が経っているのかも分からず、かといって起きて何かする気にもなれずボケーっと月明かりを眺めている、そんな気分だ。まあ、最近は寝落ちするまでゲームしてるからそんなことも
ガチャ
ん? 今、音鳴ったよな? ガチャってしたよな? 俺は今視界が閉ざされてるから音には敏感なんだぞ? それに、寝たくても寝れない状態だからな。誰かが入って来たら流石にわかるぞ?
「ふふふ、本当に匿ってもらえると思っていたのでしょうか、バカですねぇ、そんな馬鹿にはここで死ぬのがお似合いですよ」
ザシュ
いや、馬鹿はお前だろ。寝込みを襲うにしても最初は起きている時のために誤魔化せるようにするだろ。それなのに何、初っ端から犯人宣言してんだよ。まあ、そのおかげでこちらとしては対応しやすがったからありがたいけどな。
俺は入ってきた奴の首に脇差をぶっ刺した、多分。声も立てずにバタン、と地面に倒れたからちゃんとやれたんだろう。それにしても、こんな命のやりとりがあったのに、騎士長まだ寝てるぞ? 図太いというか、危機管理がなってないというか。
ん、ちょっと待てよ。俺が寝ている部屋は俺と騎士長、そして同じく護衛の人しか寝ていない。王族は仲良く別室にいるはずだ。ということはもちろんそちらの命も危ないはずだ。クッソ、俺に視界があれば、すぐにでも動けたのに、それが塞がれただけでここまで不便とは。
文句を言っても仕方がない、か。耳を澄まして、振動に意識を向けろ。スキルも発動して、戦闘中よりもより広くより浅く、その中から王様の気配を掴み取るんだ。
よし、多分あそこだな、そんなに離れてはいない、でも一つ問題が発生した。ドアってどこにあるんだ? 人間と違って存在感がないから分かりにくいんだが。でも、さっき入って来た奴がいるから開いてはいるはずだろ? だったら、空気の流れを読むことができれば……
「そうだ、【爆虐魔法】、スモークボム」
威力をほぼゼロにしてその代わりに煙が出るように調整した爆弾だ。爆弾にして仕舞えば爆虐魔法で使えると思ったんだが、行けたみたいだ。そして、スモークは自然と広がるようになってるはずだから、、、そっちか!
しかも、スモークはラッキーなことに開けてる場所へと通路を分かりやすくしてくれる。スモークと王様の気配を辿れば……
バンッ!
「ご無事でしょうか!」
「グーガー……zzZ」
おいおい、外は結構騒がしかったのにも関わらず呑気に寝てますじゃんかよー。俺が心配して駆けつけたっていうのに。NPCは一度寝たら起きる時間になるまで眠り続けるっていうシステムでも組まれてるのか?
まあ、無事ならそれでいいや。このまま隠遁を発動してここで待機しておこう。他にも下手人がいるかもしれないからな。
にしても、イビキ煩いな! 奥さんと娘さんは大丈夫か?
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