第834話 久しぶりの出番


ーーースキル【痛覚無効】を獲得しました。


【痛覚無効】‥痛みを感じなくなる。



 その後もアシュラに色んな角度から色んな方法で引っ張ってもらったけど結局痛覚無効を獲得しただけに終わってしまった。おそらく引っ張るのは物理攻撃無効に含まれていたんだろうな。まあ、スキルをゲットして徒労に終わらなかっただけまだマシか。


 いや、でも痛覚って生きていく上で危険を察知する為の感覚なんだからこれが無効になるってことはシンプルに退化じゃないか?


 それに、他の方法で死ぬ時にちゃんと死を実感できなくなる可能性がある。これは不味いな、早急にどうにかする必要がある。んー、何か良い方法はないだろうか。貫通を使うにしても、多分一つしかできないだろうから今までに死んだ方法では死ねない気がする。


 スキルを封印するスキルがあればいいのに。


「あ、」


 作ればいいのか。俺ってば仙術持ってるし、作れるじゃんか! よし、そうと決まれば具体的なスキルの効果を決めないといけないな。ただ封印するだけでもできるかもしれないが、折角封印するならその分強くなリたい。


 普通、スキルを作るときはどう強くなりたいかを考えて、それに見合う代償を考えるんだろうが、これはまるっきり逆だな。まあ、好きなことできるから俺としてはありがたいが。


 よし、決めた。難しいことを考えても決まらないだろうから、封印したスキルと称号の数に応じてステータスがアップするようにしよう。どれをあげるかも自由に決めれるようにしてっと。


 あ、でも仙術で適当にスキルを作りまくってそれを封印するってのはズルイから無しにしよう。そんなことしなくても封印するスキルはたくさんあるしな。


 上昇値はシステム側で勝手に決めてくれ、そんなこと一々決めてられない。


 うん、こんなもんかな。じゃあ、


「【仙術】、技生成!」



ーーースキル【封印】を獲得しました。


【封印】‥任意の数スキルと称号を使用不可能にし、その数に応じて自身のステータスを一つ選択して上昇させる。上昇幅は封印したスキルと称号によって変化する。


 おー、いい感じにできたっぽいな。どれどれ、まず手始めに痛覚無効を封印してっと、上昇させるステータスはLUKにしよう。


「【封印】、お!」


 LUKが上がってる。なんかLUKが上がるって嬉しいな。LUKなんていくらあってもいいからな。よしじゃあ今から封印する奴は全部LUKに振ってやろう。これで俺も幸運人間だ! ビンゴとか抽選とかマトモに当たった記憶ないから、幸運って羨ましいんだよな。


「【封印】!」


 俺は封印以外の全てのスキルと称号をLUKに変換した。封印を封印したらどうなるか気になるが、流石にする勇気はなかった。


 恐る恐るステータスを見てみると……


「は?」


 えげつないくらい増えてた。バグなんじゃないかってくらい増えてた。なんか、上がりすぎてて背徳感すら感じてしまった。運が良すぎて死んだりしないよな?


 あ、でもそれで殺してくれるならありっちゃありか。


 よし、じゃあ試しに上がりに上がった幸運でアイテム採取でも行きますか!


 そう意気込んで足を踏み出すと、なんと俺はつまづいてしまった。地面にキスするまでの間で俺は悟った。あぁ、結局のところ上がったのはシステム的な運だけなのかと。数値は数値でしかないのか、と。


 しかし、その考えは裏切られた。俺は火山の上の方にいたため、つまづいた先に待っていたのはキスではなかったのだ。いや、キスはしたのだがその続きがあったのだ。そう、俺はそのまま斜面を転げ落ちてしまった。


 ぐるぐると目まぐるしく回る視界の中で、ゴツゴツした地面からチクチクと攻撃され、十分に勢いが着いたところで、巨大な岩に衝突して、、、


 死んだ。

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