第826話 花園の秘密
フンコロガシのメンバーが全滅した後の戦いは壮絶なものだった。
花園チームはまさかの肉弾戦を、深夜組は中距離から遠距離を保ったまま飛び道具や魔法などで応戦していた。
いやいや逆だろ、とも思わないでも無かったが、それぞれのチームの雰囲気を見るとなんとなくピッタリな気もする。俺もこの戦いの間に敵の弱点とかを観察して終わり次第、警戒される前に倒し切らないと、だな。
そこからは只管間合いの勝負になった。近づきたい花園と、距離を保ちたい深夜組。両者の思いが交差しながら、徐々に徐々に互いのダメージを重ねていった。
気づけば大将戦、そこには二人しか立っていなかった。
まあ、実の所俺は常に戦力が均衡するようにこそっと石を狙撃スキルで投げて数を調整していた。本人からすれば頭が爆散しているから気づくだろうが、もうその時には死人に口無し状態だし、周りの奴らは戦に忙しいから全く気づいた様子はなかった。
偶にふとしたタイミングで味方の頭部が爆散していることに気づいた人もいたが、その人にも同様に爆散してもらった。そんな訳で残り二人となってしまったのだが、、、
「あれ、これ俺が狙撃で倒せば終わりなんじゃ……」
二人同時に、とまではいかなくても殆ど時差なしで倒すことくらいできるよな? それなら別に二人の決着がつくまで待つ必要はないんじゃないか?
い、いや、その僅かばかりの時差が命取りになる可能性はある。だって、自分と相手しかいない状態でその敵が死んだら誰だって警戒するだろう? そして、頭の爆散具合から俺がどこから狙撃しているかもバレるだろうし。
うん、やはりここは二人の最後の戦いを見守るべきだな。
「あ、そうだ」
無茶苦茶いいことを思いついたぞ。どちらかが勝つまで手を出さない、というのはそのままだが、決着がつく瞬間に勝者の頭を爆散させるのはどうだろうか。
そう、つまりは側から見れば相打ちに見えるように始末するということだ。そうすれば俺に注目は集まらないし、敵も勝ったと思っているから一番油断しているだろう? そこを狙えばまず間違いなくやれるだろうよ。
作戦を立てた俺は石を構えて狙撃準備が整った状態でことの顛末を見届けた。
リーダー同士の戦いもクラン同士と一緒で、肉弾戦vs遠距離攻撃だった。ただ、一対一となると流石に遠距離のほうが分があるな、そう思ったときだった。
花園のリーダーが野獣化した。
全身から滾るようなオーラを放ち、獣人のようになったその人は目も体もバッキバキに決まっていた。そして、その体は今までとは全く異なる身体性能を搭載しており、距離を取られた側から圧倒的スピードで接近し、拳をお見舞いしていた。
「や、やば」
どこが花園だよ。ただのジャングルじゃねーか。俺がそう結論づけたと同時に、
ッバーン!
深夜組のリーダーの体と、野獣と化した秘密の花園のリーダーの頭部が爆散した。
もしかしてそのあまりにも強化された体に石ころなんて効かないかもと思ったが、なんとか貫いてくれたようだ。
それにしても、秘密ってそういうことだったのか……
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