第815話 元から変な奴
【光速】‥任意で目視した地点へと光の速さで直線移動する。
そ、そうですか。もうもはや移動速度を上げるスキルですら無くなってるんだな。
それにしても任意で目視した地点か……ちょっとやってみるか。
俺は適当に後ろを向いてすぐ近くの地点を指定し、スキルを発動してみた。すると、、、
「うぉっ」
抜けた。というより瞬間移動した。
どうやって壁に埋まった所から抜け出そうか考えていたんだが、まさかこうやって抜け出させてくれるとはな。
もしかして、この光速スキルは壁に埋まった人に対する救済措置なのかもしれない。
って、そんなことより、砦を確認しなければ。俺のメンバーが危ない。砦をバァン! 蹴り開けるとそこには皆の姿があった。だが、その顔はどこか厳しそうな顔をしている。
「お、おい! 大丈夫か!?」
すると皆キョトン、とした感じでこちらを見てきた。
俺はキョロキョロとあたりを見渡し、一旦落ち着いてから再び口を開く。
「えーっと、数字が減っているのが見えたから全力でこちらに戻ってきたんだが、今はどんな状況だ、敵は何処にいる!?」
ッシーン。
久しぶりにこの擬音を使った気がする。でもこの場にはこれ以外の擬音が全く当てはまらない状況だった。
「え、えーっと、もう一度ウィンドウを確認してみては如何でしょうか。クラン名までしっかりと。私たちはまだ誰も死んでいませんよ? 先程先兵がやってきたので処理致しましたが、恐らくそれと間違えられたのかもしれません」
「えっ?」
そう言われて再びウィンドウを見ると確かにウチのクランは50/50の数字が書かれている。
あれ、もしかして俺見間違い? 見間違いで俺は壁に激突して光速を手に入れてしまったのか?
マジかー飛んだ無駄足、とまではいかないまでも強いものグループからしたらかなり変な奴に映っただろこれ。
「ゴホン、ゴホン、分かった。ではそうだな折角私も来たのだ。防衛に参加しても良いだろうか?」
俺がそう問いかけると皆場断る理由はないよな? みたいな顔をして互いに目を合わせ、俺を受け入れてくれた。
え、ってことは理由がないから受け入れた訳であって、理由があったら断ってたってことか?
しかもその目を互いに合わせたのも絶対に俺を変な奴だと思ってるからだろ!
……まあもうやってしまったことは仕方ない。人一倍仕事をして取り返す他ないだろう。
「敵襲、敵襲!」
俺が決意を固めた次の瞬間、敵襲が来た。これはなんともちょうど良いタイミングなんだ。これでメンバーからの信頼を取り戻す。
「敵、およそ百五十、敵およそ百五十!」
は? ひゃくごじゅう!?
おいおいおかしいだろそれはだって、敵はそもそも全部合わせマックス百だろ? でも何人か倒してるし、そもそも全員が力を合わせるなんて考えにくい。
いや、でも今回はまさかの両方ともモフモフだったよな。もしかしたら面識はあって邪魔な俺らを倒す為に手を組む、なんてことはあるかもしれない。
それに向こうもいくら手を組んでいるとはいえ防衛にも人員を割かないといけないはずだ。
「……」
そういえばさっきまで攻めてた砦、もぬけの殻だっよな。クソ、そういうことか。でもそうなると俺が帰ってきて結果的に良かったな。
ただ、それでも百を超えることは無いはずだ。他の五十はどっから来たんだ?
「……あ、」
従魔かな?
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