第811話 モフモフ
ふぅ、今回のクラン抗争第二戦目か。まさかモフモフ愛好会と被るとは思っていなかったな。
我らモフり隊とある種決別するように別れて別クランになったのだが、根っこの部分ではモフモフを愛する同士であることは変わりない。しかし、やはり恐竜をモフ対象に入れるのは間違っている。
確かに最近の研究結果では恐竜は毛が生えていた、という可能性がかなりの精度で認められている。しかし! モフモフとは物理的な肌触りのことを言っているのではないのだ。
そのモフと同居する愛狂おしさがあってのモフモフだろう? いや、別に恐竜を貶しているわけではない。私も幼き頃は憧れたものさ。だがな、成長して独り身が長く続くともうモフりなしでは生活ができないのだ。
そんな生活必需品とも言えるようなモフモフが恐竜だなんて信じられないだろう? 心の平穏なんて遥か彼方、それこそ十一次元の向こう側にまで置いて行かれている。
それだけはモフり隊、隊長としては認めることはできなかった。
ゴホン、前置きが長くなってしまったが同郷のよしみだからと言って手を取り合うつもりは全くない。むしろガンガン敵対するつもりだ。
ただ、一つ懸念材料としてあるのが、もう一つのクラン、フンコロガシの存在だ。今まで聞いたこともなかったクランなのだが、一試合目を見る限りかなり強そうだった。それに、私たちの知らない技が多数見受けられた。私が知らないからという理由だけで侮れる相手ではないことは確かなようだ。
まあ、どちらに攻撃をするにせよ、守りを固めることが先決だ。このイベントの最早セオリーと化しているのだからな。とにかく死なず攻めずで守っていれば負けることはない。
各種動物たちと協力し、ものすごいスピードで建築を進めていった。やはり、こういう時に手伝ってくれる存在がいるというのはとても心強いものだよな。私なんか池谷で買った家具を組み立てるときに何度失敗したことか……
今は関係のない話だな、時を戻そう。
よし、これで壁と堀の建設は完了だ。この壁と堀のスタイルはこのイベントの一試合目で行われた最有力クランが採用していた陣形だったため、私たちを含め多くのクランが採用している。ただ。私たちの場合は可愛いモフモフちゃんたちが通れるよう、壁に小さな穴が何箇所か空いてたりする。
まさか、こんなところから人が入ってくることはないので大丈夫だろう
「さてと、モフモフ愛好会の様子はどうだ?」
「はい、どうやら始祖鳥を使ってフンコロガシの砦に攻め入っているようです」
「始祖鳥だと!? また、そんな奇妙な生物を使いやがって。別にとやかくいうつもりはないが、本当にモフモフを感じているのだろうか?
「それで結果はどうなったんだ?」
「はい、それが……なんとフンコロガシが撃退してしまったのです!」
「何っ!?」
あ、あの始祖鳥が、か? 確かに私が今奇妙な生物と組むとは、と蔑むような発言をしたように思う人も多くいるだろう。しかしそれは間違いであれは完全な褒め言葉なのだ。
確かにモフモフはあるものの、その翼力はとんでもないものを持っている。仮に本気を出して撃退したとしても彼らは倒せないと思うのだが……
「そ、そんなやばいんです?」
そうメンバーが問うてきたが、やばいどころの話ではないぞ?
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