第806話 アイスのリスク
アイスも戦う……だって?
い、いやそりゃアイスの願いだったら全て叶えてあげたいと思うのが主ってもんじゃん?
たださ、ただその大人の事情というか、君もれっきとした魔王軍として活動したこともあるわけだし、顔割れしているのかもしれないのよね、うん。
しかも、今回はイベントだから完全に衆目に晒されてしまうわけで、クラン内だけってわけでもないんだし、それ相応のリスクってのが存在するんだよね、うん。
何よりアイスに戦わせたくないっ! いやーだって、ウチのアイスって超可愛いじゃん? ってことは敵のモフりたいだかもふもふしたいだが知らないけど、絶対にアイスが標的にされちゃうわけ、うん。
それにいくらアイスが強いと言っても、最大で二つのクランをまとめて同時に相手取るなんて流石にキツイと思うんだ、うん。
だから、今回のお願いだけはちょっと厳し
『ねー、だめー? ごちゅじんちゃまー』
『い、いいぞ?』
……やっちまったー。そんな愛くるしい声でおねだりされたら無碍にする方が無理な話なんだって!
ま、まあアイスは俺が全力で守れば良いだけだし、俺のアイスを狙う輩がいた場合に関しては全力で排除、殲滅するだけだから、うん。
『アイス、俺からは絶対に離れないということだけでも約束してくれ』
『わかったー』
『うん良い子だ』
よし、これでとりあえずアイスに関しては良いだろう。まずはイベントに集中しないとな。アイスを守るがあまり負けてしまっては本末転倒だ。いや、アイスに危害があるようなら別にそれで負けてもいいか。もちろん、全力で抵抗はさせてもらう。
とりあえず切り替えるか。今はクリスタルの替え玉を行っていたんだったよな。とりあえず俺もメンバーを見習って穴掘りして地中にでもクリスタルを隠そうと思う。
偽のクリスタルは時間経過である程度溶けてしまうだろうが、ウチのアイスの氷の力はすんごいから当分は大丈夫だろう。それに溶けたらまた凍らせれば良いだけだからな。
よし、とりあえず今できることといえばそのくらいだろうか? 外の様子でも見に行くとしよう。
「え、やば」
なんか、普通に凄いことになってた。あり得ない大きさの堀はともかく、それにプラスで大きな壁と、その上に内側からは外の様子が見える、簡易物見櫓のようなものができている。
しかも、説明によればその櫓は弱いものグループのギロチンカッターを効果的に使用する為に設置されたそうだ。お前ら頭良すぎかよ。
だが、これで砦の守りが完璧であることはもはや疑う余地すらないだろう。
そして今回は弱いものグループが守りで強い方が攻めだな。前回との交代もできていてバッチリだな。防衛の方には分体を配置して、では、早速敵陣地に向かうとするか!
皆に指示を出そうとした時、俺は不意に声をかけられた。
「り、リーダー。そ、そちらのワンちゃんはどこから? 少し見覚えがある気がするのですが、気のせいでしょうか?」
ん、ん? こ、これはもしかして不味い展開??
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