第793話 想定外の小さな歪み

レビューをいただきました!!


ありがとうございますぅ……


これからも一生懸命頑張りますのでこの拙作を応援よろしくお願いしますm(_ _)m

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 後に毒沼連続殺人事件と呼ばれることとなるその事件の後、リーダーから説明があった。


 毒無効を手に入れることによって、弱い俺たちが戦えるようになる術を教えられたのだ。


 心身ともに衰弱しきった俺たちはその言葉が、五臓六腑に染み渡るように体の隅々まで浸透した。


 リーダーがもはや神にすら見えた。


 しかし、次の瞬間、その神は悪魔へと変貌した。


「では、今から皆さんには殺し合いをしていただきます」


 正直、その後の言葉は耳に入ってこなかった。気づいたら俺は短剣を持ち、隣のプレイヤーの首を刎ねていた。そして、俺も同じように刎ねられた。


 リスポーンするまでの数刻の間に、俺が見た光景は俺のいつも見ているものとは百八十度違ったものだった。


 そして、その後も首の刎ね合いは続いた。次第に自分だけが刎ねたい、という欲望に皆が駆られ始め、どんどんと戦いは激化していった。


 狩らなければ狩られる、これをこのような形で体現するとは思わなかったが、そんな考えとは裏腹に体が勝手に首を刎ねた。


 クランメンバーを殺しても経験値は一切獲得できないが、システムには、数字には、現れない経験を獲得できているのだと心の底から思えた。


 自分と相手の目的が一緒であるから、何を考えているのか手にとるように分かるし、分かられる。そこから外れようとしても、読まれるし読むことができる。


 読み合いが何周も繰り返され、戦闘はますます高度なものへと発展していく。


 そして、効率を求めるがあまり、戦いの場所はリスポーン地点へと移っていった。


 リスポーンしては殺され、殺してはリスポーンさせられる。


 徐々にリスポーン後、最速で行動を取ることができるようになった。リスポーンしたと気づいてから動き始めるのでは遅いのだ。死んだ瞬間からリスポーンへと意識を持っていき、体が実体化した瞬間に動き出す。敵もその瞬間を狙っているのだから、刹那の戦いだ。


 そして、そのリスキル地獄から間一髪抜け出せても今度は、体を起き上がらせて首を刎ねないといけない。かなりのタイムロスだ。


 そこで、現実ではできないのにも関わらず、跳ね起きができるようになった。これが人間の適応力なのか、と変なことを考えてしまった。


 だが、立つだけでダメだ。首を刎ねなければならない。だが、それは同時に、ということを示している。


 つまり、初手はガードが安定なのだ。両腕で首をガン守りして移動し、隙を見て武器を実体化して首を刎ねる。しかし、それでも敵は多い。いつかは自分も刎ねられる。


 そうやって何度も何度も死と殺と生が入り乱れながら時は過ぎていった。


 感覚はどんどん研ぎ澄まされ、動きはどんどん最適化されていった。



ーーースキル【超反応】

   称号《断頭者》

   称号《サイコキラー》を獲得しました。



【超反応】‥刺激に対する反応速度が飛躍的に上昇する。


《サイコキラー》‥無感情で人を殺す。相手に殺意を向けた時に相手はより恐怖を感じる。また、DEXをゼロにし、その減少分だけINTとSTRが増加する。



 俺は気づけばサイコな処刑人になっていたのだった。

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