第788話 馬鹿な二人
俺は閻魔を獄界へと送ってきた後、城に戻ってきていた。
「あ、装備」
そうだった。俺、獄界に装備を作りに行ってたんだった。なんで何も持たずに帰ってきてしまったのだろうか?
これも閻魔の野郎がいきなり殴りかかってきたり人間狩りを始めたりするからだよな。全く、人を振り回すのもいい加減にして欲しいもんだよな。
俺はスキルを発動した。
「【
これは去り際に閻魔様がくれたスキルで、これがあれば獄界に行き放題らしい。こんな便利なスキルがあるなら初めから教えて欲しかったよな。
目の前に大きな門と橋が現れた。流石に地獄に繋がる橋なだけはあって、迫力が段違いだ。
そして俺はさっき来たばかりというのにまた獄界に戻ってきた。
「んお? なんで魔王が来たんだ?」
閻魔に遭遇すると、とぼけた顔でそう言ってきた。やはりコイツも忘れているようだ。
「いや、装備を受け取っていなかったらな。装備を受け取ろうと思ってな」
「ん? あぁ、装備か! そういえばんな話もしてたな! だけどよぉ、まだみんな素材を取りに行ってるぜ? そんな早くできるわけねーだろ、ははははっー!」
そういって笑われた。確かに言われてみればそうだ。爺さんのとこでもどんな装備であれ一ヶ月はかかってたもんな。これは早とちりしてしまったな。
「魔王ってばせっかちななんだな! もう少しゆったりいこうぜ?」
お前にだけは言われたくないんだが?
だが、これを言ってしまうとまた面倒なことになりかねないので、気合いで押し留める。俺は大人だからな。
ピロン
ん、何か通知が来た。イベントの知らせか?
と思ったがどうやらクランメンバーだけが見えるメッセージのようだった。
なになに、クラン抗争に向けてのレベル上げようの会のお知らせだって?
これは行くしかないだろう。これに不参加なんて考えられないな。
「すまない、少し用事ができた。今来たばかりだが帰らせてもらう」
「え、もう帰んのかよ! ってじゃあ何の為に来たんだ?」
「五月蝿い、【獄門橋】、開!」
俺は再び扉を開き、今度は現世につながる橋を架けた。こんな短い期間に二度も使えばもう大丈夫だな。使い方が体に染み込んだぜ。
俺は門を通り橋を渡った。
「それって、ただの移動手段って訳じゃねーんだけどなー」
後ろの方で閻魔が何か言ってたが、なんて言ってるのから全く聞こえなかった。お見送りの言葉でもかけてくれたのだろうか?
……なわけないか。とにかく、装備ができるまでの間。クランメンバーにバレないように気をつけないとな。
そして、今からは抗争に勝つ為、メンバーを強くしなければ。
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