第781話 偽のガチ勢とガチの魔王
俺は一先ずログアウトすると真っ先に掲示板について調べた。
度々会話には出てくるものの、俺にそれについての情報が一切存在せず、なんとなく適当に相槌を打つしかなかった。話の流れでかなり重要そうな気配がしたから急いで調べたのだ
すると、すんなり出てきた。そして沢山出て来た。
俺はてっきりゲーム内の掲示板というものが存在するかと思ってたんだがそうであってそうではなかった。
いわゆるまだVRがそこまで主流になっていない頃の名残のようなもので、不特定多数の人が書き込みができるシステムのようだ。そこで攻略情報やパーティの募集だったりと様々なことが行われていて、あのクランもここで集まった人々が基になって出来上がったものらしい。
俺は小さい頃にうっすらと記憶がなくもないが、どちらかというと攻略情報とかは見ない方だったからそこまで馴染みがなかった。それに、当時は相手が誰かも分からない人と交流することに興味を持っていなかったしな。
だが、まさかこんな形で関わることになるとは……ゲームではずっとソロだった俺が急にクランに入るとか、相当しんどいぞ? しかも、ある程度文化が醸成されているだろうから、その流れを知らなきゃついていけないだろうし……
「ああーー!」
なんでこんなことになったんだ? 俺はただ悠々自適に自分の好きなことしたいだけなのにな! 失ってから気づくソロの良さよ……やはりソロこそ至高なのだ。
だがもうこの状態でいくら嘆いたって何も変わらない。ならば現状を受け入れるしかない、それに逆に考えてみよう。クランに入ることのメリットはなんだ?
そう、クラン抗争に参加できるということだ! これに関していうと俺はもともと気にはなっていたから正直嬉しさもある。ただ、それと同じくらい不安も強いってだけだ。
ならば、その不安を克服してクラン対戦に向けて頑張るしかないだろう。よし、ならまたログインしますか!
❇︎
再びログインして、魔王城地下一階に向かうとそこに物凄い人だかりができていた。なんと、クランメンバーが大集合していたのであった。
「さて、では今からクラン抗争についての会議を始める!」
この奇妙な集団の前には歯垢帝の姿。地下でこの規模の集会ってもうヤバい匂いしかしない。
ってか、クラン抗争やる気満々なのかよ。やっべ、なんとなく、それこそノリでやってみたいとか思ってたけど、そんなガチのガチでやるつもりなのか?
あーでもそうか、経験値効率を追い求めて魔王城の地下に穴掘って拠点作る奴らだもんな。そりゃガチ勢しかいないよな。って、もしかしなくても俺結構最上位クランに入ってたりする?
みんなどれくらいのレベルなんだろうな? 俺ってばまだレベル七だから相当ばかにされそうだな。絶対キャリーして装備作ってもらったって思われるんだろうな。まあ、歯垢帝にはそう説明してるし……
「んーってかクランのリーダーは歯垢帝でもいいんだけど、戦闘のリーダーはまた別でいたほうが良くね? それこそわかりやすく一番強い奴が仕切ってくれた方がこっちも従いやすいし。ここで一回はっきり白黒つけよーぜ」
群衆の中から一人の男がそう声に出した。言葉にはしてないものの、俺がこの中では一番強い、そう言っているようにすら聞こえた。
「ふむ、確かにそれも一理あるのう。では、こうしよう、今から適当に好きな人を選んで戦うのじゃ。そして勝ち残ったものだけでま戦う。いわば勝ち抜き戦で強者を決めるのだ。運もあるかもしれぬが上に立つ者として、運もあったほうが良いからのう。では、始めよう。もちろん私も参加するぞ! あ、戦闘場所は足りないから自分たちで作ってねー」
歯垢帝は見た目は幼いのに、老人みたいな口調があまりにチグハグで面白く、笑そうになるのを必死に堪えていた。いたのだが、最後の素? のような一文に全てを持っていかれた。
え、ってか自分たちで作るってどういうこと?
俺が周りの人たちがどうするのかと思ってキョロキョロしていると、皆が徐にピッケルを取り出して……
壁を掘り始めた。
「え? ……あ、ちょっ!」
思わず声が出てしまったが、誰にも気づかれなかった。ってか、逆に気づかれてたら不味かったな。怪しまれるところだった。
それよりお前ら、人の敷地内だぞ? それに、もし地盤沈下でも起きたらどうしてくれるんだ? 責任とれんのかよ。もしかしてそれで魔王城攻略しようとか思ってねーだろうな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます