第771話 従魔の日常(別視点)
「皆、これからも励むのだ!」
この言葉を聞いた従魔にとって、その瞬間とは、今まで以上に生きる意味が、戦う意味が明確になった時であった。
❇︎
『ふぁーーーーあー』
ねみぃ。だが、今日はやらなきゃなんねーことがある。だから、今は起きないとダメだ。
……あと三分。
ーーー1時間後、
バッ!
勢いよくベッドから飛び起きた。完全回復だ。
従魔になったら寝なくてもいいらしいんだが、俺は寝るのが好きだ。だから寝る、それだけだ。
だけど今日はやらなきゃならねーことがあるんだよ。そう、強えーモンスターを倒しに行く。
ご主人様が励め、と言われたからには全力で励まなければならない。そして、普っ通に褒美が欲しい。
いわばご主人様を形作るものである、SPを頂けるのだ。頑張らない理由がない。
俺は昨日、ペレに聞いたんだ。強えーモンスターはどいつだ、ってな。したら、ペレは雪山に熊がいるってんだよ。
ペレはちょくちょく人間のフリして本を読んだりしてるからな、結構物知りなんだよな。俺からすりゃ、何が楽しーか分かんねぇが。
その熊は結構強えーらしくてな。そうなりゃ倒すしかねーだろ。そして、首でも持っていけばご主人様も喜んでくれる筈だ。
今日はそんな日だ。そしてそんな日に俺は寝坊した。
「……」
よし、過ぎたことをいくら考えても意味ねーからな。今から雪山にいくぞ!
『【三身分体】』
俺は体を三つに分けた。これはスカルとボーンに色々教わってやっと生み出せたスキルだ。
アイツらは二人が合わさることで強くなるが俺らは分裂することで強くなる。まあ、時と場合によるだろうがな。
そそ、スカルとボーンが言うには手札の多さが重要つってたな。つまりは、そういうことだ。
それに、今みたいに移動する時は俺の姿はちとデカいからな。分体になることで人目を避けることができるってわけだ。
ほんと、スカルとボーンには感謝してもしきれねーよな! 今回熊を倒したら肉でも持ってくか!
っと、んなこと考えてたらもう雪山に着いてたぜ。で、熊は、、、いた。アイツか。
俺ほどデカくはないがまあまあデカいな。問題は強えーかどーかってとこだが……
「グァああああああああ!!」
俺を見るなり咆哮たぁ、そこそこ骨のある奴じゃねーか。だが、見掛け倒しになってくれるなよ?
俺は熊に走って近づき、土手っ腹に拳を一発食らわせてやった。
モンスター同士と戦いだ。武器は使わねー。相手もステゴロだからな。拳でぶつかり合ってぶっ倒す。これが俺のやり方だ。
「グギャア!」
俺のパンチを食らうと結構痛そうだったが、それでも俺の腕に噛み付いてきた。くっ、なかやかやるじゃねーか。
だが、こんなのでやられる俺じゃねーなぁ!
ドゴン!
今度はそのど頭に良いのを決めてやった。
すると、熊の雰囲気が変わった。おいおい、ここからが本気ってか? いいぜ、なら俺も付き合ってやるよ! すぐに終わっちゃつまんねーぜ?
『【アシュラビート】!』
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