第769話 SP実験
『なあ、ハーゲン俺から強くされるのはもう嫌か?』
『んー、嫌じゃないっすよ? ご主人様に強くしてもらえるっていうのはとても光栄なことっす! でも、せっかくこうして一からやり直せるなら、自分の力でも強くなってみたいなって思ってるだけっす!』
そうか、ハーゲンにもしっかりとした考えがあるんだな。なら止めておこうか。素直に俺もハーゲンがどのような進化を遂げるか気になるしな。
なら、実験はあの子にさせるか。
『なぁ、メガネくん今ちょっといける? 付き合って欲しいことがあるんだが』
俺は彼にそう連絡して城へと向かった。ハーゲンはまだもう少しここでモンスターを倒してから帰ってくるらしい。
あ、魔王口調になるの忘れてた。
❇︎
「それで、どうされたのですか? 陛下」
メガネくんが頭を下げて俺にそう質問してきた。メガネくんは未だに俺の従魔から殺される、という所業を続けていたらしく結構ステータスも上がっているようだ。
このままでは俺も抜かれてしまう危険性があるからな。もう、止めさせて本来の仕事に戻ってもらうことにしよう。この仕事が終わってから、だが。
「今回は少し我の実験に付き合ってもらいたくて、呼んだのだ」
「実験……ですか?」
「うむ、我は強制進化というスキルがある。そのスキルは自分の配下を強化することができるのだが、さらに素材を使うことでさらに強化することができるのだ」
「ほ、ほう。それで、私にその実験台をしろということですね?」
「そうだ、だが今回使う素材はただの素材ではなくてだな。私のSPを使おうと思っているのだ。だから強化の結果がどうなるか私にも分からない」
「SP……!?」
「だからこそお主の気持ちが聞きたくてな。もし嫌なら断っても良い。もしそうすれば適当なモンスターを連れてくるだけだからな。だが、もしかするととてつもなく強くなる可能性もある。どうだ、やってみるか?」
「とてつもない強化……?」
うんうん、メガネくんは流石に迷ってるみたいだな。そんなとんでもない強化って言われたら誰だって揺らいでしまうだろう。それに、強くなる為に死にまくらされてたら縋りたくなるだろう。
「そ、それではお願いします……!」
「分かった。では、もう少し近くにくるのだ」
「はい」
「では、【強制進化】」
その瞬間メガネくんが白い光に包まれた。
「こ、これは……?」
メガネくんだった。
「え、何も変わってない?」
「あ、はいそう、みたいです……ね?」
やべ、つい口調が元に戻ってしまった。それにしても何も変わらないなんてあるのか? 普通に強制進化するだけでも効果はあるのに、人間またはプレイヤーには効果がないのか?
「あ、魔王様……ステータスがとんでもないことになってます!!」
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