第764話 魔王の仕事


 さて、諜報員のメガネくんの処遇も決まったことだし、今日は第二階層の改装に取り掛かっていこうと思う。


 ん、洒落かって? 当たり前だ俺はオシャレな魔王として売ってるからな。


 冗談はさておき、この第二階層が完成した暁には、運営にて告知をしてもらおうとすら考えている。プレイヤーいらっしゃいイベントだな。


 そこで経験値二倍とか運営がしてくれたら更にいいんだけどなー。そしらた更にプレイヤーが強化されて、それを俺らが刈り取るという農業が完成する。うん、それを思えば楽しみだな。


 農業は時間がかかるものだし、準備も大変だがその分実った時の嬉しさは大きいんだろうな。よし、第二階層の改装を頑張りますか!


 第一階層よりもモンスターのレベルは上げないといけないから、死骸魔術でスケルトンより強い、スケルトンウォーリアーを、アスカトルにも少し強めの敵を用意してもらおう。


 だが、それだけだとスケルトンとクモの対策をするだけで楽に経験値を稼げるようになってしまう。それでも悪くはないのだが、多様性が損なわれてしまうのは嫌だ。


 だから、もっと別の種族が欲しいんだが……


 あ、そうだ。ここにボスを配置すればいいじゃないか。それも徘徊型の。


 第一、第二階層とスケルトンとクモしかいないことでプレイヤーたちを油断させ、徘徊ボスとして……そうだな堕天使たちにプレイヤーを狩らせよう。


 そして、堕天使ズがやられたら第三階層にいけるようにしよう。だが、まあ当分負けさせる予定はないんだけどな。


 第一階層では弱い敵相手にそこそこ美味しい経験値を、第二階層ではそこそこ強い敵に対して更に美味しい経験値が待っているが、徘徊ボスの危険性もある。


 うん、なかなかいいのではなかろうか? これなら運営さんも納得してくれるだろうな。そうだ、イベント名は魔王城大改装記念、経験値爆上げイベント、とかではいいんじゃないか?


 初心者から中級者、中には上級者まで楽しめるかもしれない、良心的なイベントだ。


 ま、堕天使ズは絶対にやられないし、もしやられそうになっても回復するから、見せかけの良心なんだけどな。そこは魔王だからそれくらいしても許されるだろう。


 上の階ではまだメガネくんが頑張っているみたいだな。是非とも強くなって欲しいものだ。


 そして、一応第三階のアイスの階層を第二階層からはいけないようにして、っと。ん? これはズルじゃないぞ? もし堕天使達を倒せたらその時は直々に道をつなげてやるんだからな? うん、これはとっても公平な措置なんだ。


 よしよし、あとは運営に今回の作戦とイベント名を送って……よし、これで粗方の作業は終わりだな。


 あ、そうだ。せっかくなら隠し宝箱とか用意しておいたらもっと食いつきが良くなるかもしれねーな。今まで俺のアイテムボックスに死蔵してた素材達を適当に入れておけばいいだろう。


 あとは、メガネくんに他ので適当に吹聴してもらえれば最高だろう。


 ククククク、悪い笑みが止まらないぜ。初めて魔王らしいことをしてるんじゃないか? あぁ、早くイベント始まらねーかなー。


 そして次はアレをやらないとな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る