第761話 俺視点


 よし、というわけで今から魔王城を改装していくんだが、まず第一層から見直してみよう。


 第一層は水中エリアになっていて、海馬の担当エリアになっている。だけど冷静になって考えてみて欲しい。誰が第一階層から水中エリアの魔王城を攻略しようと思うだろうか。


 今回の目的はプレイヤー全体の底上げなのだ。俺基準で考えては絶対にダメだ。初心者を基準にして考えよう。


 そうなると、水中エリアなんかは言語道断になってくる。そこで俺は思い切ってここの水を抜こうと思う。


 ……いやそれは勿体無いから、とりあえず何もないゾムの階層と入れ替えよう。そして、初心者でも倒せそうな雑魚敵で埋め尽くしてみよう。


 そうすれば無双系ゲームのように快感を得られて経験値もアップするという最高の環境を作ることができる。というわけで早速モンスターを生み出していくか。


 あくまでこの階層の敵はやられ役であるため、補充可能な戦力でなければならない。だからこそこれを使う。


「【死骸魔術】、召喚」


 スケルトンたちを無数に召喚した。これなら流石に誰でも倒せるだろう。そしてこいつらをバッタバッタ薙ぎ倒してもらって、レベルをあげたら次の階層にいく、っていう流れだな。だから、次の階層に行くための条件はレベルにしてみてもいいな。


 あ、そうだ。流石にスケルトンだけだと味気ないしすぐに飽きてしまうと思うから、アスカトルに頼んで弱目のちっちゃい配下を生成してもらおう。スケルトンとクモならちょうどいいかもしれないな。そこまで苦労せずに倒せるだろう。


 控え室も作ってそこにあらかじめ大量召喚しておいて、少なくなったら適宜増量していくって感じでいいだろう。


 よし、ひとまず第一階層はこんな感じだな。誰かでテストしてみたいんだが、内に適任がいないんだよな。皆、そこそこ強いからスケルトンとクモなんかじゃ相手にならないんだよな。それに第一階層は完全に初心者向けだし。


「あ、そうだ」


 ウチの軍に一人だけ強さじゃない強みをもった奴がいたな。ちょっとそいつで試してみるか。


『おい、魔王城に来い。第二階層で待っているから自力で上がって来るのだ』


 彼からしたらびっくりしたことだろう。急に連絡が入ったと思えば招集されてさらに自力で来いなんて言われたらますます真意を計りかねるだろうな。


 まあ、そのくらいでいいだろう。


 ❇︎


「あ、きたな」


 ようやく門が開いた。やっとテスト第一号が来たみたいだな。あいつの実力であれば余裕でクリアできるレベル感を目指しているのだが、果たしてどうなるのだろうか。


 メガネをかけた少年はとてもビクビクした様子で城の中に入ってきた。


 そこまでビビらなくても大丈夫なのにな。そんなに大した敵も配置してないし、彼が戦闘員じゃないことも承知の上でのテストしているのだから。


 あ、少しずつ歩き始めた。そして、そこにスケルトンが近づいてきた。


「う、うわー!!」


 ザクッ


 彼はスケルトンに腰を抜かして尻餅をつき、そのままスケルトンの持ってたなまくらの剣に引き裂かれて死んでしまった。


 え、こいつ弱くね?


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