第755話 魔王劇場
レビューをいただきました!!
本当にありがとうございます!!本当に嬉しいです!!
これからも頑張りますのでこの拙作をどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m
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アシュラを一旦返して、俺はすぐさま反対側の扉を一つずつ確認していった。すると、三人一組が功を奏したのかなんとか敵の攻撃を耐えており、グループによっては複数体敵を倒したところもあるようだ。
三階の全部屋の敵を倒したことを確認し中央に集まって従魔たちを集合させた。
『協力してくれてありがとう。だが、今回からかなり敵が強くなっていたようだ。それに気づかず皆を出動させて済まなかった。皆、ゆっくり休んでくれ』
従魔たちは皆それぞれ何か言いたげな顔をしていたが、俺は返してしまった。今は心が穏やかではない、そしてそういう時は一人の方が落ち着く。
……ハーゲンがいない。この三階にもいなかった。左側にいった際に奥にまたもや階段が見えたからもしかしてと思っていたのだが、悪い予感はしっかり当たるようだ。
ここからは俺がいく、俺が一人で行く。別に従魔たちを信用していないとかじゃない。単純に上に立つものとして、魔王として、飼い主として、アイツらが危険に晒されるのが嫌なのだ。
自分でもこんなに嫌なことだと認識していなかったのだが、もし失ったらと思うと、それが現実になると考えると、どうしても怖くなってしまう。
それに、彼らに死という経験を味合わせたくないのだ。
死ぬのは、死に続けるのは俺だけでいい。
階段を駆け上がった。先程の階段よりも長く、ウネウネした階段であった。それでも全力で登った。
そして、その先には、俺の城のような謁見の間のような場所にでた。赤い絨毯がひかれ、怪しげな紫色の炎まで灯っている。
「ほう、再びやってきたか。そして今度は人間か、つまらんな」
再び、今度はって言うってことはここにハーゲンが来たのは確実ということだ。どこだ、どこにいるっ!?
そして見つけてしまった。玉座に伸びる赤い絨毯から大きく離れたところに、無惨に動かなくなったハーゲンの姿が。
「は、ハーゲン……」
頭が真っ白になり、全ての感覚が機能しなくなった。見えているはずなのに何も見えない。聞こえているはずなのに何も聞こえない。
大きな、喪失感と絶望感、そしてその後に沸々と滾ってきた怒りの感情。殺す、絶対に殺す。完膚なきまでに殺す。
「ほう、あれは貴様のペットであったか? では済まないことをしてしまったようだ。しかし、安心しろ貴様もすぐにその畜生どもの所に届けてやる。おっと済まない、人間も畜生であったな。フハハハハ!」
何も聞こえなかった。しかし体は勝手に動き始めていた。剣を抜き、目標の心臓に目掛けて直進していた。
スカッ
しかしそれはまるで幽霊を斬ったような、暖簾にレイピアを刺したような、感触だった。まるで手応えが感じられない。
「フハハハハ、我ら高等種族である悪魔が貴様ら畜生の攻撃を喰らうとでも思っているのか? それだから貴様らはいつまで経っても畜生なのだよ」
プチっ
体のどこかで何かが切れる音がした。すると、突然感覚がクリアになり、思考も落ち着いてきた。
現状を確認し、やるべきことを再確認する。そしてその為に何が必要であるかを瞬時に考える。
その間およそ0.01秒。
「【筋骨隆々】【魔闘支配】」
そして、やることが決まった後に覚悟を決め、全ての感情をエンジンに変え体に注ぎ込む。
「殺ス、」
自分のやるべきことを意思を明確にするにはその三文字で十分だった。
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