第754話 三階と再会


 螺旋階段を登ると、そこには二階と全く同じ構造が広がっていた。今度は部屋数をきちんと数えてみると左右に五つずつ、正面には十の部屋があった。


「おいおい、またこれをやるのか?」


 また一から部屋を攻略しなければならないという事実に心が折れそうになった。だが、ハーゲンとアシュラにもしものことがあると思うと流石にそうも言ってられない。


 そして、こういう時こそ……


『全員集合!』


 俺は従魔を全員呼び出した。もしかして二人もしれっと戻ってくるかもとも考えたがそこまで甘くはなかった。これは元からそういう仕様なのか、それともこの空間、あの部屋になんらかに力が働いているのか、二人は戻ってこなかった。


 そして今回は堕天使ズも呼んでいる。


『お前ら、三人一組でこの部屋にいる悪魔共を倒してもらう。組み合わせはスカルボーン、ゾム、堕天使ズ。デト、海馬、アイス。ペレとアスカトルは二人で大丈夫だな?』

『『はっ、』キシャ』


『俺は反対側から一人で攻略していく。正面の真ん中の部屋で落ちあおう。命令は命大事にガンガン行こうぜ、だ。では、皆迅速に行動せよ』


 俺は空中を天駆で駆け抜け反対側に移動した。そして、悪魔狩りを始めた。


 ガチャ、シュパン、バタン。ガチャ、シュパン、バタン。ガチャ、シュパン、バタン。


 この一連の流れを何も考えずにただ繰り返す。悪魔の心臓ももういらない、今は二人の安否の方が心配だ。ただ機械の様に悪魔を殺す。さっきよりも殺しにくくなってるような気がするけど気にせず頭を刎ね続ける。


 それでも二人は見つからない。右半分の五部屋にもいなかった。もしかしたら反対にもいるかもしれないが、それなら連絡が入るはずだろう。


ということはまだ見つかっていない。


 俺は正面に到着した。端から侵略していく。もう、自分でも何を考えているのかすらよく分からない。もう正面中央の部屋まで残り三部屋になってしまった。


 ガチャ、シュパン、バタン。ガチャ、シュパン、バタン。ガチャ、


 もう、もはや二人を探すというかこのイライラを悪魔たちにぶつけているという段階になっていたその時、扉を開けるとそこにはアシュラがいた。


 全身を黒紫色の何かで拘束され全く身動きの取れない状況で腕を一本ずつもがれていっている状況だった。


 俺の視界が赤く染まった。


 一瞬で相手の元に近づき、相手の四肢を切り落とした。そして、相手の胴体が地面に着くまでに無数の斬撃を与え、塵芥へと変えてしまった。


「すまん、アシュラ」


 俺は拘束から解放されたアシュラに抱き着いき、回復させた。無事手足も元通りになってくれたようだ。


「良かった、本当に良かった」


 アシュラがこれほど一方的にやられるということは、思ったよりもこの階層の敵が強かったのだろうか。俺は適当に殺してただけだが、それでも倒しにくくなってる気はした。


 ん、ってことは他の従魔たちが危ない!


 俺は全身から血の気が引いていく音が聞こえた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る