第753話 螺旋非常階段
そこからはもう迷わなかった。俺はまず二階の右側の部屋を攻略しにかかった。
ガチャ
「誰だ貴様h
ブチャり
俺は心臓を抉り取った。悪魔はそんなに相手のことが気になるのだろうか? 俺は他人に全く興味がないから理解に苦しむな。
それと真ん中の扉以外はちゃんとその部屋に入れているようだ。何故わかるのかと言うと、出る時も入ったところと同じ扉から出てこられたからだ。
これならば更に二人の捜索は捗る。どんどんと開けていこう。
「誰だきさm
ブっちゃり
心臓って案外個体差があるんだな。こうして手に取ってみないと分からなかったが、悪魔がそれぞれ違うなら人間も違うのだろうか。
でも普通に考えれば皆顔が違うように、背丈が違うように心臓の形も違うか。マラソン選手と高齢のおばあちゃんの心臓が全く同じ機能をしていてもそれはそれで困るからな。
よし、右側は後二つの部屋だけだな。チャチャっと終わらせよう。
ガチャ
「誰だk
ブチャ、バタン
ガチャ
「だr
ブチャり、バタン
よし、これで二階右側の部屋は全て確認し終わったな。だが、二人はいなかった。だがその五つの部屋のどれにもいなかった。
急がねば、もしかしたら強い敵がたまたまいて苦戦しているかもしれない。
❇︎
その後も只管にドアを開け閉めして悪魔の心臓を抜き取って分かったことがある。それはあまりにも悪魔が弱すぎるということだ。以前、戦った悪魔たちよりも全然弱く感じてしまうのだ。
確かに、俺自身が強くなっているのもあるだろう。しかし、それだけでは説明ができない何か致命的な弱さがあるのだ。それは俺が入ってきた時にまず名前を聞いてきたり、そもそも俺を脅威とすら思ってなかったりするのだ。
まるで一度も戦ったことのない兵士の様に。
だから簡単に心臓が手に入る。心臓がザックザクだ。
でも、それとは引き換えに二人の影が一向に見えたらない。今は正面の部屋を端から回っていて、もう半分近くまできているのに、だ。
左側に固まっている可能性もなきにしもあらずだが、それは確率的にどうなんだ? まあ、偶然というのはえてして起こりうるものだからな。さっさと全部屋回り切ろう。
❇︎
ガチャ、ぶちゅり、バタン
これで二階の全ての部屋を回り終えた。そして二人はどの部屋にもいなかった。どういうことだ? 別の部屋に飛ばされたんじゃなかったのか? いったいどこに飛ばされたというのだろうか。
もう一度全部屋を探して回ろうかと思ったその矢先に、ふとあるものが目に入った。
「階段?」
そう、そこには暗闇に紛れてひっそりと三階に続く螺旋階段があったのだ。さながら非常階段のように。
おいおい、嘘だろ? 二人は三階にいるってか?
俺は暗闇に続く非常階段を全速力で駆け抜けた。
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