第752話 二人の行方
ガチャ、
扉を開けて二人が二階の真ん中の部屋に入っていった。俺は二人の様子を見るための子蜘蛛を忍ばせるのを忘れていたため、遅れてドアを開けて子蜘蛛を中に入らせた。
すると、そこには二人の姿はなく、ただ一人の悪魔が寝ていた。
「ん、今ドア開いたか? 、、、気のせいか」
ドアの開く音に目を覚ました様子だったが、その悪魔は再び寝始めた。少しお馬鹿さんなのだろうか?
でも、悪魔がお馬鹿さんなのと、二人がいなくなったのは関係はないはずだ。どうしてこの部屋にいないんだ?
考えらえる理由としては今寝ているコイツが一瞬で二人を倒したってことが考えられるが、いかにその悪魔が強かったとしてあの二人を瞬殺できるとは考えづらい。
それに、今寝ていた悪魔が倒したならまたドアが開いたことに対する反応があってもいいはずだ。それなのにただ目覚めてまた寝ただけと言うのは少し不自然だ。
ならば、二人はどこに消えたんだ?
ハーゲンとアシュラの戦闘力があれば心配する必要はないとは思うが、所在がわからないだけで普通に心配だし、もしものことがあってはいけない。悪魔には物凄く強い奴もいるだろうからな。
とりあえず俺も入ってみるか。何もせずにここに突っ立てるだけってよりかは目の前の敵を倒した方がまだマシだろし、そいつから何か情報を得られるかもしれない。
しかも、今も相変わらず眠っているようなのでチャチャっと生殺与奪を握って情報を入ってもらった後に心臓をいただくとしよう。
ガチャ
俺が扉を開けるとその悪魔は……いなかった。
「ん、貴様は誰だ?」
ん、貴様は誰だ、ってこっちのセリフなんですけど。なんでお前がいるんだ?
目の前には先ほど寝ていた悪魔ではなく、鏡の前で服を選んでいる悪魔だった。悪魔って服着るの? と思わなくもないが、人間界に紛れるためには必要なのだろうな。
って、そんなことより、これで二人がいなくなった理由が明らかになった。恐らく、あの真ん中の部屋の扉を開けるとランダムで別の部屋に飛ばされるのだろう。それでハーゲンとアシュラが別々の部屋に飛ばされ、子蜘蛛と俺も別々の部屋に入っているのだろう。
子蜘蛛の視界では今も相変わらず悪魔さんがぐうたら寝ている。なるほど、そう言うことだったのか、ならば二人は一対一で悪魔と戦っていることになっているが大丈夫だろうか? 俺も早くこの部屋から出て早く二人がいる部屋に駆けつけねば。
「おい、貴様は誰だと問うているだろう! 早く答えろ!」
「人に聞く前に自分のことから紹介したらどうだ?」
「なっ、いいだろう。私は侯爵級悪魔、デルソンである!」
へぇー侯爵級なんだ。しかも名前まで持ってるのか。これは強い敵かもしれない。だけど、いきなり入ってきた敵に対して執拗に誰かと問いただしてきたり、俺のヘンテコ理論に応じてきたりと、コイツも馬鹿なのかもしれない。
それに、強敵そうではあるものの、もう勝負は決している。
「【燐炎】」
「あちぃっ、なんだこれはっ!」
ジャギン
俺は斧を取り出し、敵の体を横に真っ二つにした。うん、やっぱり大したことなかったな。最初に話してたのも俺がどう倒すか決めるまでの時間稼ぎでしかなかったしな。
俺は心臓を回収すると、外に出た。するとそこは二階右側の部屋に出た。つまり、ここと真ん中以外の部屋から二人がいるところを探さないといけないってことか。
いいだろう、やってやろうじゃないか!
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