第750話 ゾムきゅん


『おい、ゾムって念話できるのか?』


『『はい。といってもかなり雑音混じりでしたのでまだ完璧にはできないのでしょうが』』


 おいおいおい、ゾムが念話できるって相当ヤバいぞ? だって俺がコミュニケーションした時はいつもグァしか言ってなかったんだからな。


 ん? ってことはゾムは成長してるってことだよな? もう既に、というか最初から最凶兵器であったゾムがまだまだ成長するとなると末恐ろしすぎるんだが?


 スカルとボーンも十分すぎるくらい強いと思ってたのになんか火力が足りないとか言い出してるし、なんでこうもウチの従魔たちは上昇志向が強いんだ? 普通ならもっとサボりたいよな? 現状維持がいいよな?


 そのせいで俺まで頑張らないといけなくなっちゃうじゃねーかよ。


 まあ、そのおかげで俺も強くなれるからいいんだろうけどさ。気持ちの面で負けてる魔王様ってどうなんだ?


 でも、何はともあれこれで左右の部屋の両方をクリアしたことになるな。完全に従魔任せではあるがいいだろう。


 そして次の攻略先だが、一回奥の部屋は明らかに禍々しいオーラが放たれているから一旦無視する。


 となると、次は二階になるんだが、二階にどのくらい部屋があるのか、そもそも一回と同じように部屋ごとの戦闘なのかもわからない。


 というわけで二階の初陣は、


『ハーゲン、アシュラ、次はお前らに任せたぞ!』


『はっ』『ういっす!』


 うん、今回の悪魔の城でまだ戦ってないのがこの二人だけだったからな。それに、二階から急に相手のレベルが上がる可能性も考えられるし丁度いいだろう。


 エントランスから二階へと二つの階段が伸びている。どちらから登るか非常に迷いどころではあるのだが……


『ハーゲンは右、アシュラは左から登るように』


 そして俺は真ん中から見えない階段を登っていくとしよう。なんか……エモいだろ?


「【天駆】」


 今思うと、別に俺一人が真ん中から登ってその後に二人を出せば良かったとか思わなくもないが、まあ気にしない・


 二階に上がると、そこにはホテルのようにズラーっとたくさんの部屋が並んでいた。下から暗くて見えなかったのだが、まさかこんなにも部屋数があるとは思わなかった。


 しかも正面だけではなくて、両サイドにも人がっている。


 もしかして、このお城に世界中の悪魔が住んでるのか? そう思うくらいの部屋数だった。


 でも、流石に一番強い悪魔と弱い悪魔が一緒の場所に住むわけないし、流石に中堅以下が勢揃いって感じかな?


 でも、そうなるともっと強い悪魔もゴロゴロいるってことになるから、真剣に俺も鍛えなきゃだな。


 じゃあとりあえず手始めに真ん中の扉を二人に開けてもらいますか。


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