第747話 火力と認識の不足


 ッドッゴーーーン!


 なんて馬鹿力だ。ボーンはギリギリ僕のところに転移したから難を逃れたけど少し遅かったらやられてたかもしれない。


 こっちの攻撃は全然効いてないし、相手の攻撃は一撃でも食らったら不味い。これは結構ヤバいかもね。僕たちは結構強いと思ってたのにまだまだじゃんか。もっと頑張らなきゃな。


 でも、この戦いだけは何が何でも絶対に勝ちたい。


『ボーン、現状を確認しよう。僕達に足りてないものは何?』

『圧倒的に火力だと思うよ、スカル』


 うん、そうだ。どう考えても火力が足りていない。今までは僕たちの転双で撹乱してその時点で勝負がつくことが多かったけど、まさかそもそもの火力が足りないとは思ってないかった。これからは火力を上げていくことが課題だね。


 でもそれは今どうこうできる話じゃない。この戦いに勝つ為に何ができるか、だ。


『じゃあ、その火力不足を補うにはどうしたらいいと思う、ボーン?』

『相手の弱点を突く』


 そうだ、相手の弱点を突けば火力不足が補えるはずだ。


『相手の弱点はどこだと思う、スカル?』


 今度はボーンからの質問だ。


『ご主人様が、人間には正中線ってのがあるらしい、って言ってた』
『体の真ん中を縦に通る線のことよね? じゃあそこを試してみよう、まずは下から』


 自分の層とは違って地の利がないけど、僕たちなら絶対にいけるはずだ。


 まず最初に僕が陽動として攻撃しようとする。それに相手が反応して何らかのアクションをとった隙に、


『『【二位一体】』』


 ボーンの座標で合体する。このスキルを使うことで単純計算してもさっきの四倍の火力、スピードが出る。それを相手の弱点に当てれば。


 ボゴンッ!


 決まった。これはかなり良いやつを相手の正中線の一番下にクリーンヒットさせられた。相手はうずくまって、動きを止めた。これでは流石にもう立てないでしょ。


「クックック、なかなか良いのをくれるじゃねーか! だが、まだ全然軽ぃーーんだよっ!」


 バンッっと、元々かなり膨張していた筋肉をさらに肥大化させて悪魔はそう言った。


『ねね、流石に不味くないスカル?』

『あぁ、これは結構不味いよボーン』


 そこからは完全に防戦一方だった。相手が筋肉を肥大化させたことで、攻撃の威力もスピードも上がったのだ。それでもなんとか僕たちは転双を使って避けてたんだけど、、、


「クソッ、ちょこまかちょこまかしゃらくせーな! だが、もう読めたぞ、お前らはお互いの位置を変えたり、どっちかに集まったりできるんだろ? だけどもう通用しねーよ!」


 悪魔が更に変形した。今度は筋肉を増やすのではなく、新たに腕を生やしやがった。


「これでお前らを同時に対処できる。もうお前達に勝ち目はねーよ」


 絶体絶命、まさにそんな状況だ。いよいよ活路どころか自分たちが死なない未来が見えなくなった。


 もう無理だ、そう思いそうになった時だった。


『ザ、ザーー。ボクモ、ザザー、イル、ヨ』


 頭の中にそんな声が聞こえた。酷く雑音混じりで何を言ってるのか聞き取りづらかったけど、ちゃんと聞こえた。


 そして、思い当たる声の主は一人しかいない。


『『ゾム!』』


 ゾム君の方を見ると、微かに頷いたような、そんな風に見えた。

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