第741話 心配になる毒


 名前も知らない蝙蝠悪魔の顔面を潰した俺は、忘れずに心臓を抜き取り、次に進べき道を見た。


 この場所はエントランス、そして選択肢は四つある。一つは二階へと続く道だ。エントランスから二階へと大きな階段が二つ伸びておりその両方が同じ場所に通じている。


 二つ目は、その階段の間の奥にある扉だ。ここは明らかにやばい負のオーラが漏れている。もし向かうとするなら最後だろう。


 そして、左右に一つずつ扉があるといった感じだな。多分それぞれに敵がいるから各個撃破して最後に奥の扉が開くとかそういう流れなんだろうけど……


「全員集合!」


 俺は俺の従魔達を全員呼び出した。そう、ここの攻略を従魔に任せてみようというわけだ。別に特別な理由はないが、みんなの成長が気になったんだ。あとは、単純に面倒臭い?


 え? 城の警備は大丈夫かって? 堕天使ズに任せてあるから大丈夫だ。ま、もし突破されても連絡が来るようになってるから大丈夫だろう。


『よし、というわけで早速戦いたい奴はいるか?』


 俺はそう問いかけたのだが、おかしいな、気のせいだろうか。皆が目をキラキラに輝かせているように見える。それにどこか衝動を押さえつけるような、そんな表情にすら見える。


 んーでも、誰も立候補しないなら俺が勝手に決めるしかないよな。


『じゃあ、今回はアスカトルとデトックス、お前らに任せよう!』


『『はっ、かしこまりました』、キシャ』


 俺が指名すると、アスカトルは小さくガッツポーズを、デトはプシュー! と毒ガスを甲羅から噴射している。そんなに嬉しいなら手をあげろよと思ったが、皆遠慮してたのかな? 全く日本生まれじゃないのに日本人の気質を持つとはな。


 って、みんな毒耐性を持っている訳じゃないからデトのそれは流石に不味いだろ。と思ったけど意外と効いてないな。


 骨ズとアスカトルが効かないのは分かるがその他のみんなはどうしてるんだ?


『おい、みんな毒は大丈夫か?」


 聞くと、ペレは熱で近づく毒を全て焼却し、アイスは体内に入った毒を凍らせて排出したらしい。ハーゲンに関してはなんか大丈夫って言ってるし、ゾムは、、、多分大丈夫だ。


 というわけで実際に食らってたのは海馬だけだったみたいだな。改めて、どんなスペックしてるんだ? アイスは相変わらず魔法の使い方が赤ちゃんのそれではないし、ハーゲンは素で強いし、ゾムはよく分からないしで、あれ、これ悪魔大丈夫か?


 海馬に関してはいつか毒耐性つけてあげないとな。


 図らずともデトの噴射でウチの従魔たちの凄さが露見してしまったのだが、気を取り直して悪魔の討伐に向かいますか!


 初戦はアスカトルとデトの珍しい組み合わせ、一体どんな戦い方を見せてくれるのだろうか?


『ご、ご主人様……か、回復を』


 あ、海馬。すまんすまん完全に忘れてたわ。早く毒耐性げっとしろよな? 魔王軍には必須だからな?


「【慈愛之雨】」

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