第737話 入城前


 クソ、なんであのクソ怪しい悪魔を倒したのにまだまだやってくるんだ? アイツが呼び出しているんじゃなかったのか?


 そう思って、俺は再び上空へ行って全体を見渡してみると恐ろしいことが明らかになった。そう、その怪しい上位の悪魔が何体もいたのだ。その数およそ十数体。


 おいおい、ちょっと数多くないか? どう考えてもやりすぎだろう。でもまあ、確かにこれだけいればあの無尽蔵の悪魔襲来にも納得がいくな。少し手間はかかるが一匹ずつ確実に仕留めていこう。


 眼下では今でも海馬とペレが奮闘している。いかに対多数が得意だといってもあまりの敵の多さに苦戦しているようだ。なるべく早く俺がやらねば。


「【韋駄天走】」


 俺は天駆を発動したまま再度韋駄天走を発動した。視界に捕らえた悪魔を召喚する悪魔を一刀の下に切り捨てていく。余計な情報を落とし、限界まで研ぎ澄ますことによって無駄なくスピーディに倒していく。


 悪魔を倒す間に、俺自身も攻撃されてしまうのだがそんなことは関係ない。ただひたすらに元凶の悪魔のみをサーチしデストロイする。俺は今、ただの殺戮人形だ。


 あと三匹、二匹。……そして


「お前で終わりだっ!」


 ジャギンッ!


 最後の悪魔を斬った時、その場にいた全ての悪魔が消えた。召喚者が消えたら消えるシステムでよかった。これから残党狩りってなったらしんどいからな。


 だが、これでようやく悪魔のお城に入れるというわけだな。城に入る前からこんなにも手厚く歓迎してくれたんだ。中に入ってからもたくさん楽しめそうだな。


「フハハハハ、騒がしいかと思えばまさか人間がやってきていたとはなぁ! 久しぶりの馳走にありつけるというわけだ。フハハ、私が相手をしてやろう」


 ドスンッ


 突如、上から声が聞こえてきたと思えば、空から悪魔が降ってきた。おいおい、ここの天気はどうなってるんだ? こんなに天気が荒れてるんなら早く中に入らせてくれよ。


「さぁ、剣を抜け人間よ。俺様の食前の運動に付き合うのだ。だが、平手でやっても結果は見え透いておろう。そうだな、貴様に初手を譲ってやろう、せいぜい全力で俺様に斬りかかってくることだな」


 ん、なんだコイツ。急に現れて運動したいって言って、ハンデまでくれるのか? 食事がしたいなら勝手にしろよ。運動がしたいにしても勝手にしろよ。


 ただ、一発くれるってんなら、やっちゃいますか。


「【不動之刀】、ねぇねぇ悪魔さん。あなたの位はなんですか?」


「ほぅ、貴様位について知っているのか? そうだな冥土の土産に俺様の位を教えてあげてもいいだろう。先祖代々受け継がれてきた、この誇り高き俺様の位は……伯爵


 キンっ


 だ! どうだ、恐れ入った、か? ん、これはどうなっ、ている、の……だ?」


「ふふ冥土の土産に教えてあげよう。不動之刀っていうのはじっとしていればしているほど威力が上がるのだ。つまり、貴様に話しかけたのはただの時間稼ぎでしかない。ってか、誰もお前みたいな奴に興味ねーだろう」


「なっ!? き、貴様っ、こんなことをして、タダで済むと思う、、、な」


 ふぅ、やっとこときれたみたいだ。にしても首を刎ねたのになかなかのしぶとさだったな。腐ってもさすがは悪魔といったところか?


 あ、そうだ一応心臓持って帰っとこ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る