第710話 値段の意味
「んー、何しよ」
俺が獄界でやりたかった、炎系の武器とスキルを手に入れる、というの目標は達成してしまったんだよな。
一応防具も欲しかったのだが、手持ちのお金が無くなってしまったため、買うことは不可能になってしまった。作成依頼をしてもいいのだが、それなら俺の行きつけのお店でもいいかな、とも思う。それに前払いだったら依頼すらできないしな。
だから、このまま帰ってもいいのだが、閻魔様に喧嘩を売られてる状態で、逃げてしまうのはいかがなものだろうか?
魔王としては舐められたくないから、どうせやるならちゃんと抗戦したい。
かと言って、別に全面戦争を起こしたいとは思わないんだよな。ただ、舐められたくないだけ、対等に立てればそれで充分なのだ。
うーん、難しいな。
「おいおい、アイツらはこんなシャバそうな奴に負けったってのかよ! ケッ、期待して損したぜ全くよー、コレならチャチャっと終わらせて帰るか」
お、ちょうどいいところに来てくれたな。手持ち無沙汰の時には体を動かすのが一番だ。
でもなんでここの住人は、人間だと分かったら舐めプをし始めるんだろうな。こちらではそんなに人間が弱いのか?
「【鬼火】」
こいつの使用感も確かめておかないとな。同時発生や、大きさ指定はできるのか、手からではなくても出せるのかなど色々試したかったのだ。
うん、全部できるみたいだ。
「なっ! そ、それは! 閻魔様の炎じゃねーか! なぜ人間のお前がっ!」
えー、そうなんだ、コレって閻魔様の炎なのか。……閻魔様!?
おいおい、婆さんなんちゅう物を俺に寄越してくれたんだ、争いの臭いしかしねーぞ? 確かに進化スキルって聞いたことなかったから、伸び代によってはコレくらいの金額は妥当だと思っていたが、、
魔王様の炎なら安いくらいだよ、全く。いいことを教えてくれてサンキューな。でも、だからと言ってオマエには負けてあげないんだけどね。
「【鴉狼一夜】」
俺と敵の二人が夜に包まれた。そして、どこからともなく現れた鴉と狼は、対象に向かって噛みつき、啄み、心身ともに恐怖を植え付けた。
そして、相手の体を依代として、無理矢理ゲートを開き、どこかへと帰っていった。
「う、うぇー……」
なんか思ったよりも、グロいというか、なんというか……お相手さんが少し可哀想になったな。
俺の攻撃を食らってまだ伸びている敵に向かって俺は声をかけた。
「おい、閻魔様に伝えろ。俺は貴方と敵対するつもりはない、ってな。無駄な争いはゴメンだ。貴様も死にたくはないだろう?」
息も絶え絶えな相手は、静かに頷き、その場から離れていった。うん、多分大丈夫だよな??
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