第707話 測定機


 この狼の獣人みたいな敵には、近づかれたら爆弾で、距離がある時は斧で攻撃していれば負ける気がしなかった。


「く、クソっ! どうなってやがるんだ!」


「もう、終わりでいいか? あと何時間やってもお前に倒される未来は見えないし、かといってお前を別に殺したくはないからな」


「なっ……!? ここまでやっておいて俺に慈悲をかけるっていうのか! 殺せ、今すぐ殺せっ!」


 いや、え? そんなに死にたいの? NPCにも死に戻り機能が実装されてるのか? ……流石にないか、ただコイツが武人なだけなんだろう。


「殺せってことは、お前の負けってことでいいんだな? じゃあもう帰ってくれ、俺は少しばかりここに用事があるんだ。それに弱い奴を殺す趣味はない」


「チッ、次は絶対に殺す!」


 そういって、狼人間っぽい人はその場から消えた。


 結局なんていう種族なんだろうな。獣人ぽいけど獄界にいるからなー。ま、生かしておいたらその内どこかでまた会えるだろう。


 そんなことより、俺がここにきた当初の予定である、炎の技を探しにいこう。武器はゲットしたから、後はスキルだ。


 爆虐魔法でいいだろって思われるかもしれないが、もっと炎炎とした感じの奴がいいんだよ。


 それに、アイツアレばっか使ってるぜって思われたくないからな。


 ❇︎


 どうやらここがスキルショップ的な場所のようだ。なんだか、大昔の駄菓子屋のような、薬屋のような雰囲気が醸し出されている。


 ここは、良いものが置いてそうだ。


「こんばんはー」


「お、いらっしゃい」


 店主はお婆さん、うん、想像通りだな。ここにマッチョなお兄さんなんていたら雰囲気ぶち壊しも良いところだ。


「今日は何か良い技がないかと思ってここに来たのですが、炎系の技で良いものはありますか?」


「ふむ、炎系ねぇ。ちょっとこっちに来な、まずはアンタの魔力を測ってあげるから」


 魔力を測る? ってことは、その人の魔力量や性質によって売るものを変えるってことだろうか?


 え、それならワクワクするな。そんなこと今までしたことないし、適正がなんなこかも知らずにここまで来たからな。


 もし、魔法の才能がない、なんて言われたらどうしよう。


 まあ、その時はその時か。


「さ、ここに手を置くんさね。そしたら私がアンタに一番合う魔法を紹介してあげるから」


 俺がそこに手を置くと、、、


 パリンッ


 測定機が壊れてしまった。


「あ、アンタなんちゅう魔力量をしてるんだ? 測定機が壊れるなんて聞いたこともないよ!? ただ、アンタの魔法の性質はわかったよ。アンタに一番向いてる属性は……呪い、だ」

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