第704話 団長の敗北
「剣が、効かないだと!?」
俺に剣を弾かれた、騎士団のお方は相当驚いた顔でそう言った。
まあ、剣を弾く人間なんてそうそういるもんじゃねーからな。もしかしたら獄界ではそれが標準装備なのかとも思ったが、違ったようだな。
「ふっ、剣が効かぬともやりようはある! たかが人間如きにこの技を使うとは思わなかったが、光栄に思うのだ。私の剣によって滅せられることを!」
ん、何言ってんだコイツは。剣が効かないのに俺を剣で滅せられると思ってんのか?
と思っていたのだが、どうやら本気で俺のことを滅しにくるらしい。
「【属性付与:獄炎】、ふっ、今更逃げようなどと思うなよ? 貴様が引き起こした事態だ、自らの命で償うのだ。地獄の業火に焼かれて朽ち果てろ! くらえ、神滅剣!」
キンッ
「なっ……!?」
「あ、ごめんごめん。俺には炎も効かないんだった。これも言っといた方が良かったな」
これが俗に言うデジャブというものか。まさか自分がそれを体現するとは思っていなかったな。
「ふ、ふ、ふざけるな! そ、そんな馬鹿げた話があるわけないだろう! どんなカラクリかは知らないが、どうせそれも仮初の防御なのであろう! 私の力の前にそのようなもの、意味を成すはずがっ
キンッ
「成すはずが
キンッ
「成すは
キンッ
「な
キンッ
「な、な、な、なんだお前は! 一体どうなっているんだ貴様の体は! あ、悪魔か!?」
「んー、悪魔っちゃ悪魔みたいなもんか? でも、一応魔王を名乗ってるからなーできればそっちにして欲しいんだが?」
「ま、魔王だと? に、人間が、か?」
「あぁ、まああくまで一応、だし自称してるだけだから気にしなくてもいいんだけどな。悪魔って呼ぶくらいなら魔王がいいって話だ」
「は?」
あー、そうだよな。自称とか一応とか言われても意味分かんねーよな。まあ、ちゃんとしたことをコイツに説明する必要ないし、どうでもいいか。
「まぁいい。それよりもまだ俺を詰所に連れて行くつもりか?」
「いや、そんなつもりはない。ここでは力こそ全てだからな。まさかこの私が負けるとは思っていなかったが仕方のないことだ」
「そうか、なら俺はこれで」
「ただ!」
「ただ?」
「貴様がこの私、獄界騎士団、団長を倒したことは獄界中に広がる。それこそ、閻魔様にもな。そして、獄界では力あるものが正義だ。あとは言わなくても分かるだろう?」
「つまり、俺が狙われる、と?」
「あぁ、しかも精鋭達にな。閻魔様は直接手を出しはしないだろうが、貴様がここにいる限りどこまでのその手は伸びてくるだろう。あのお方は秩序と規律を何より重んじる。それを乱す者は、、、死、あるのみだ」
え、えー。閻魔様ってそんな学校の先生みたいな奴なのかよ。しかも、学年主任の方。
まあ、来た敵は全て倒せばいい。例え俺がいくら死んだとしても、な。
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