第705話 獄の武器
最後の最後に騎士団長様から脅しを受けたわけだが、とりあえずまずは当初の目的を達成しにいこうと思う。
爆炎の魔王に相応しい装備やスキルの捜索だな。
ここ獄界は、炎の源泉地と言っても過言じゃない。言うなれば特産品みたいなものだな。ってことはまず間違いなくその分野に関しては発展していることだろう。よし、早速いくか!
っと、その前に、一応俺も狙われている身だから、気持ち程度の変装をしておこう。デトを呼んで、、
「【人魔一体】、【擬態】!」
よし、これでさっき見た小鬼くんっぽくなっていることだろう。身長もかなり低くなって、まるで赤ちゃんの視点にでもなった気分だ。
しかし、実際にこの獄界の中に入ってみると、その繁栄ぶりがますます窺える。俺たちのイメージである、地獄絵図や阿鼻叫喚の様相は全くない。ま、そりゃ一部どこかでは行われているのかもしれないが。
だが、これで心置きなく探索ができるというもの。そうだな、まずは武器や装備を物色するとしよう。
そう言って俺は、鍛冶屋と思われるお店の中に入った。
「へいらっしゃい!」
おお、随分と元気が良い店主の方だな。俺の行きつけのお店とはエラい違い様だな。まあ、あっちはあっちで無口なことを売りにしてるのか?
「炎がカッコいい武器や防具を探しているのだが、何かいいものはないだろうか?」
「炎がカッコいい奴、だと? んなもんここにあるやちゃ大抵炎があしらわれてんぞ? そういうことじゃなくて、炎が使えてカッコいい武器、ってことか?」
「はい」
「そうなってくるとだな、属性武器ってなってくるから少し値段はるが大丈夫か?」
属性武器なるものが存在するのか。それの炎があれば完全にカッコいいな。お金も前回ジジイに騙された後遺症で少しは残っている。
「あぁ、強さとカッコよさが両立しているもので頼む」
「もちろん、それは俺も望んでいることだしな! やっぱり見た目もカッコよくてこその武器だよな! ちょっと待っとけよ」
そう言って店主の方は奥へといってしまった。だが、俺にシンパシーを感じてくださるのはとても嬉しいことだ。やはり、カッコいいは強いし、強いもカッコいい。この等式を成り立たせることが非常に重要なのだ。
「おう、待たせたな、これがお前さんの望む属性武器、そしてこの店一番の業物、殉炎ゲルギオスだ。これは文句無しの一品だろ! ウチの看板と言ってもいいくらいだからな!」
「こ、これはっ……!?」
斧?
まさかの斧? いや、完全に俺の中の武器といったら剣のイメージしか無かったからまさかの斧にびっくりしている。
見た目も、名前もカッコいい。ただ、ただ、まさかの斧という。
でも、ここまで来てしまった以上、引き下がれないし、断れない。もし断ったらと思うと断りたくもない。
「あ、あ、ありがとうございます!!」
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