第703話 すみません、つい煽っちゃいました
え、獄界初めての仲間に、獄界初めての裏切りをされたんだが?
獄界騎士団への説明も盛大に盛られているし、あれ、この小鬼ってば、敵なのか?
「ほぅ、つまりこの人間がこれだけの惨事を引き起こしたということか。ならば詰所まで来てもらおうか、話を聞かせてもらうぞ」
「断る、と言ったら?」
「もちろん、是が非でも連れて行くぞ、貴様の四肢がもげようともな!」
あ、アニメ風にカッコつけて言ってみたんだけど、事がまずい方に発展しそう。でも、このまま連れて行かれても俺が悪者になるだけだろ?
なら、力が全てのこの場所で、俺の力を示した方がいいのではないだろうか? じゃあ、ここはアニメ風の口調、続行で。
「なら、試してみるか?」
俺は脇差を引き抜いた。そして、戦う意思を体全体から放出する。
「おうおうおう、まさか、それほどまでに頭が弱っていたとはな。貴様の為にもここで成敗してやろう。また愚行は繰り返さぬようになっ!」
相手は細剣、レイピアを引き抜き、俺に向かって全力で駆け寄ってきた。
おいおいおい、小鬼くんですら先手を譲ってくれたぞ? 騎士団様はそんなに余裕がないのかな? 俺も、スキルを各種発動し、迎撃体制に入る。
今思うと、レイピアの敵と戦ったことは意外とないのかもしれない。突きの攻撃を受けた記憶がほとんどないのだ。
とても新鮮だ。攻撃が線じゃなくて、点であるから、意外とこちらの剣で受けるのが難しいのだ。確実に避けるか、払わなければならない。しかしその反面、突きには必ず戻す動作が生じるため、確実に隙もできる。
「ここだっ!」
そして、突きは別にそちらだけの特権ではない。こっちだってできるのだ。俺は、会心の突きを、技後硬直の隙が発生している敵の腹部に直撃させた。これは確実にもらったな。
「これは確実にもらった、とでもいいたそうな顔をしているな」
ん? ガッツリ俺の剣が刺さっている敵が、そういうと、その瞬間、弾けるように姿を消した。
「なにっ!?」
「なかなか悪くない剣筋だ。しかし、私に歯向かった時点で貴様の負けは決まっていたのだ」
背後からそんな声が聞こえた。攻撃を当てたと思っていたら、まさか敵の術中に嵌まっていたのだな。完全に背後を取られ、首元に剣を添えられている。
「最終通告だ、詰所に来い。出なければここで一思いに殺す」
俺は振り返ってこう言った。
「行くわけねーだろ、バカたれが! へっ、頭沸いちゃってんのか?」
「き、貴様ああああ! 死ねぇえええ!」
キンッ
「なっ!?」
「あ、ごめんごめん。俺には剣は効かないんだった。言っといた方が良かったな、俺に剣を向けた時点でお前の負けだって」
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