第702話 小鬼くん
「そうか、ならば私に勝ったらここを通してやろう、いざ勝負だ!」
え、ここってそういう世界なのか? 強者が全て、みたいな。
閻魔様とかその近辺だけかとおもってたんだが、獄界を通してその共通認識があるんだな。
それにしても、そこまで強そうには見えないこの小鬼が俺に勝負を挑んでくるなんてな。俺の実力を推し量れないほどなのか、それとも俺なんて、気にかける必要すらない羽虫程度なのか。
まあ、どちらにせよ戦えば分かることか。俺は獄界で力を得るにはここを突破しなきゃならない。
ならば全力で、勝てるまで戦ってやろうじゃないか。
「分かった。では、よろしく頼もう」
「ほう、良い顔つきになったじゃねーか。先手は譲ってやる、全力でかかってこい!」
先手を譲ってくれるのか。これはますます強い可能性がでてきたな。
本来、獄界なんてまだ行けないはずのエリアなのかもしれないし、ここは、慢心を捨てて、胸を借りる気持ちで望もう。
先手を貰えるのならば、遠慮なく、最初からフルスロットルでいかせもらう。
ここ獄界に魔王ありと、狼煙を上げる気概で、
「【爆虐魔法】、ツァーリ、ボムッ!」
俺は俺が撃てる最大の爆虐魔法を小鬼に向かって放った。
❇︎
「うぅっ……あ、あれ? 俺何してんだ? うぇっ! こ、こりゃなんだぁあ!?」
お、漸く目が覚めたみたいだな、小鬼くん。
俺が魔法を撃ったら余裕で消し飛んじゃって、普通に倒れちゃったから急いで蘇生させたんだが、それでも何故か気絶してたから放っておいたら、今目覚めたみたいだ。
「あっ、おっ、お前! ん、お、俺が負けた、のか!? で、でもどうやって? いや、この有様を見たら分かるか。俺はお前に負けたんだな。こんなにすげー奴とは思っていなかったぜ! ほら、今日からお前も俺らの仲間だ、よろしくな!」
おいおい、気絶から覚めてからの言葉の量が凄まじいな。本当にさっきまで気絶してたか?
ま、まぁ元気そうで何よりだ。ついさっきまで死んでたことは内緒だな。
それよりも晴れて、俺は獄界に入ることを許されたのだ。これで、俺の強化が更に捗るな。
獄界での初めての仲間、小鬼くんもできたことだし、これからの獄界が楽しみでしかなくなった。
強者が全てのこの世界なら、俺もかなり自由になれるかもしれない。いや、必ず自由を手に入れてみせる!
待ってろ、閻魔の野郎!
俺が決意を堅く固めた後、複数の足音が聞こえてきた。
「貴様ら! これはなんだ、誰の仕業だっ!」
え、なになに、俺、今から怒られるの?
「我ら獄界騎士団、獄界の安全と恐怖を守る者だ。貴様らこんなことをして許されるとでも思っているのか? 誰がやったのだ、答えろっ!」
え、マジでヤバい雰囲気じゃんこれ、どうしよ。あ、、でも小鬼が勝負ふっかけてきたし、小鬼は門番だから説明すればなんとか……
「あ、コイツでやんす。この変な人間が急に襲ってきたでやんす。俺は抵抗する間も無くやられたでやんす」
え、仲間っ!?
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