第701話 獄界
「あー、これは多分そのヴァールが言ってる聖炎ではないと思うぞ? これで攻撃はできないし、多分似てるだけだと思う」
そう、だよな? いや、マジで聖炎ってなんだよ。変な濡れ衣はやめろよな。
「そうですか。まあ、確かにそれが聖炎でないことは、私がこうして生きていることからも窺えますからね。仮にあえて殺していないだけとしてもそれはそれで面白そうですからね」
いやいやいや、どーゆーことだよ。これは納得してくれたってことなのか?
「まあ、いいや。とにかく連れて行ってくれるのか? 獄界に」
「そうですね、立ち話もなんですし、早速いきましょう」
俺はヴァールと一緒に転移した。
❇︎
「ここが獄界……」
転移した先は頭上はドス黒い雲に覆われ、周りは火山に囲まれた、正に地獄というような世界だった。
しかし、驚きなのが、思ったよりも繁栄しているということだろうか。大きな城を中心に、城下町が形成され、人間となんら変わりない営みを送っているようにも見える。
「ふふふふ、なぜこんなにも発展しているんだ? そんな顔をしていますね。そもそも獄界には、妖怪や死後の魂、そして魔物など多種多様な生物が存在しております。そしてそのものが閻魔様という圧倒的な力の前で手を取り協力し合えばこのくらいは当然でしょう?」
そうか、ひとえに獄界と言っても色々な奴らがいるのか。そしてそいつらが手を組んだらそりゃすごいことにもなるのか。閻魔様というわかりやすい旗印もあることだしな。
「なるほど、ますます興味深くなってきたな」
「それはそれは、光栄ですね。ここでは人間界にない独自の発展も見られることでしょうから、ごゆるりとお楽しみください。では、私はここらで退散いたしますね。閻魔様のところでまたお会いしましょう」
「あ、ちょっ!」
行ってしまった。もう少し案内をしてくれてもいいだろうに。何か用事があったのか?
まあ、いいか。なら俺も好き勝手に探索するとしよう。
そうだな、まずは武器屋とスキルショップだな。これはマストで抑えなければいけない。俺もあっちではよく活用していたから違いもよくわかるだろう。
ここでしか手に入らない専用装備や専用技なんかもあるかもしれない。もしかしたらお目当ての炎っぽい装備やスキルもあるからだからな。
では、入るか。最初はデトお得意の擬態を活用しようかとも思ったが、いろんな奴らがいるのならば、あえて堂々といった方が怪しまれなくて済むだろう。
「ちょっと待て、」
そう思ってふっつうに門を潜ろうとしたら、門番に止められた。見た目は小さな赤い一本角の鬼だった。ゴブリンという感じではないから、小鬼とでも呼んでおこう。脳内で。
「何用だ、何しにここにきた!」
随分と高い声だな。まだ変声期前か? でも、ちゃんと仕事をこなしているあたり偉いな。でも、なんて答えようか。なんて答えるのが正解なんだ?
「え、えーっと力を求めて、ここに辿り着きました」
「そうか、ならば私に勝ったらここを通してやろう、いざ勝負だ!」
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