第697話 魔王の弱点


「はぁ、、」


 疲れた、ヒジョーに疲れた。冒険者ギルドってなんであんなに人が多いんだ? 暗殺ギルドは俺がいつ行っても受付の人以外見たことないのに、冒険者ギルドはその十倍ってもんじゃないぞ。


 俺は人口密度が高い場所が苦手なんだ。人混みとかならまだ外だし埋もれている感はあるけど、こうやって室内で人口密度高いのは本当に嫌だな。


 まあ、だがそれだけの代償を支払ってまで冒険者ギルドに出向いた価値はあったようだ。


 そう、目標資金額の5000万に到達してしまったのだ。正直、スキル一つで五千はあたおかとしか表現できないのだが、それでも欲しいものは欲しいのだ。


 まあ、それだけの価値を俺が見出してしまってるから値下げの余地もない。物理的な交渉は無理だったしな。


 ❇︎


 というわけで、魔王、愛用のスキルショップに現着しました。


「お邪魔しまーす」


 中に入ると、店内は安定で薄暗く人間も店員の爺さんしかいない。そう、やっぱり俺はこういうところの方が向いているんだよな。


 落ち着くというかしっくりくるというか。おっと、危ない危ない、本題は俺が一目惚れしたスキルだったな。


「じ、爺さん、まだあのスキル……HP高速再生は残っているのか?」


「フォッフォッフォ、もう五千万も集めてきたのか? そう心配せずとも五千万をポンと出せる者なんてそうそうおらんて」


「そ、そうか。それは良かった」


「それに、五千万と言ったがあれは嘘じゃ。たかだがスキル一つに五千万はもはや酔狂のいきじゃろう」


 はぁ!? 嘘なの? 俺が頑張ってかき集めてきた五千万が嘘だっていうのか?


 いやだって、そりゃ俺だって酔狂だと思ったぞ? 五千万ってゲームの中だからまだマシだけど、現実世界だと割とえげつい金額だからな?


「じゃが、せっかく頑張って集めてきてくれたお金じゃ、使われんのももったいなかろう? それに儂も欲しい」


「はい?」


 このジジイ、自分で何言ってんのかわかってのか? あぁ? 自分が嘘ついて、相手に金多く持ってこさせて、せっかくだから寄越せと? 儂も欲しいし、って、そりゃ誰でも欲しいだろ!


「おいおいおい、流石にそれは」


「無論、ただとは言わんよ、こちらも最近入った特別な品があるのじゃ。特別にそれを差し上げようじゃないか」


 特別な品? なんかやり口が家電量販店っぽくなってきたな。そんな狡い手に誰が……


「それがこれなんじゃが、、、」


「鴉狼一夜……?」


 これなんて読むんだ?





——————————————————

追記:レビューいただきましたぁああああ!!


本当にありがとうございます!とても嬉しいですし、やる気もでます!


これからも頑張りますので、この拙作をどうかよろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る