第696話 受付とコミュ力


 カボチャを倒すといつの間にかダンジョンが無くなっていた。これはそういう仕様なのだろうか。外から見たらどんな風になっていたのだろうか?


 まあ、そんなことは気にせず財宝をたんまりゲットしたから、さっさと換金して目的のあのスキルを手にいれよう。


 もしかしたらもう既に無くなっているかもしれないし、今まさに誰かが買おうと検討しているかもしれない。


 ギルドに戻ると、先程の女性の受付の方じゃなくて別のゴッツイ男性がいた。


 ……いや、別に女性が良かったなんて思っていないぞ? それは断じて否定するのだが、ゴッツイ男性だと、ほら、怖いじゃん? オーラとか放ってくるしなんか暑苦しいし。


 よし、意を決して話しかけてみるか。


「すみません、お宝でダンジョンを手に入れたのですが……」


「はぁ? お宝でダンジョンを手に入れただ? そりゃどういうことだよ、それは一体どんなお宝なんだ、ちょっと見せてみろ、いや、ダンジョンから見せてもらおうか? いや、無理か、ならお宝を見せな」


 あっ、間違えた。久しぶりのごっつい人で緊張してたのか? そう思えば俺ってば人間よりもモンスターとの会話の方が多いからな。それも身内のだ。


 だからコミュニケーション能力が全く育ってくれないんだよな。死ねば死ぬほど、コミュ力も上がってくれればいいのにな。


「す、すみません、間違えました。ダンジョンでお宝をゲットしたんです。なので、換金ってどこですればいいんですか?」


「はっはっはー! そういうことかなんだビックリしたぜー! そういうことならほら、見せてみろ俺が換金してやっからよ!」


 受付の人は朗らかに笑ってそう言ってくれた。こういう人ってなんか距離感近いよな、ま偏見だけども。


 このくらいだったらまだ大丈夫だが、ここから更になんか高圧的な上から目線な奴になってくるとイライラしちゃうよな。


 その点、この人はそのラインを弁えているのか、不快な気分にはギリギリならない。


「結構、量があるのですが、全部ここに出していいですか?」


「おう、出せ出せ! 俺が見てやるよ!」


 うん、個性的だな。ならとりあえず半分くらいぶちまけるか。と言っても、俺も蜘蛛たちに運ばせてたから実際どれだけあるかはわからないんだよな。ま、大丈夫だろう。


 そう言って俺はアイテムボックスから先ほど手に入れたお宝を排出した。


「うぉ! すげぇじゃねーか! こんなに沢山、って、ちょ、あ、おい! 多すgブフォ」


 あれ、なんか受付の人がフレームアウトした。それと入れ替わりに目の前には大量のお宝。


 あのカボチャやろう、こんなにも溜め込んでたのかよ。まあ、ダンジョンでは文字通り山積みされてたからな。


「……」


 あれ、これっていつになったらお金もらえるんだ? まだかな?


「うぉおおおーーい!! 多すぎだろっ! 殺すきか! と、とりあえず、今だした分は俺が査定するから残りは今すぐ冒険者ギルドに持ってけ! こんな量一人でできるわけねーだろーが!」


 あ、はい、わかりました。


 でも、自分で見てやるよって言ったくせに怒鳴られてもなー。まあ、向こうも本気で怒ってなかったからいいけどさ。


 冒険者ギルドなんていつぶりだろ?

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