第695話 カラクリ煎餅
その後もちょこちょこ攻撃してみても全く効いている様子はなかった。それに、相手もこちらを攻撃してくる様子はそれほど見受けられなかった。
時折、その巨体を生かしたジャンプして踏みつけをするくらいで、それ以外、俺がいくら攻撃しようと我関せずという感じだった。
何故これほどまでに攻撃してこないんだ? もしかしてそれは攻撃が食らわないのと関係あるのか?
攻撃しない分だけ攻撃を無効化できる、とか?
もしそうならどうにか攻撃させたいところだな。怒らせれば攻撃してくれるだろうか? 怒らせるためには……
「あ、」
ちょうど良いものがそこら辺にゴロゴロしてるじゃん! つまりはそういうことだな!
「【分け身】!」
よし、お前ら行ってこい!
俺は分体を二体生み出してカボチャではなく、お宝の方に向かわせた。俺の予想が合っていれば、、、
「ギャァアアアアアああ!!」
いやいや少し盗んだだけでこれかよ。
分体に少しお宝を盗ませると、先程までのニヤニヤして余裕をぶっかましてた態度から一変し、顔を真っ赤にして怒り狂った。
おうおう、チョロいな。これ、もし全部取られたらどうなるんだ?
『アスカトル、配下沢山寄越してくれ。戦闘力はなくていい。大きくなくていいから、物をある程度運べるくらいの奴らを頼む』
『かしこまりました。少々お待ちください』
そう言って数秒後、どこからともなく小さな蜘蛛がわらわらと出現した。
「お前らー、あの宝全部取ってこい!」
数の暴力、これは非常に恐ろしいよな。これさえあればどんなに強い敵でも倒せるかもしれないんだから。
「ギョ工工工工工工!!」
怒ってる怒ってる。でもこれで暴れられると大切な配下達がやられちゃうからな。お前の相手は、
「おーれ、だっ!!」
ッドゴーーーーーン!!
おー効いてる効いてる! さっきまでは破壊不能オブジェクトだったのが今はダイヤモンドくらいの硬さになってるな。
このままもっとお宝を運び出せばもっと柔くなるのかな? ってことはこの調子で俺が南瓜の相手をして、配下達ちに任せれば……
バキッ
あれ、いつの間にか煎餅くらいになってる。煎餅割るのってなんか気持ちいいな。
バキバキッ、バキバキッ
あ、そういえば、頭の上にある王冠もお宝判定なのか? ちょっと頂くか。
「グギャアアアアア!!!」
王冠を取るとおよそ生物が出せる音とは思えない、気持ち悪い嫌な音を出した。
おっとこれは防御がガクッと下がりそうだな。ちゃちゃっと倒そう。
攻撃が食らうようになって、相手も攻撃してくるのだが、もともと鈍重な攻撃だ、くらう余地もない。
ジャギンッ
なんか最後はもう硬いのか柔らかいのかわからなくなって、そのまま斬って終わってしまった。
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