第692話 ダンジョン攻略(別視点)
「ここが、あの欲望と絶望の巣窟と呼ばれているダンジョンか……」
俺は長い旅路を経てようやく目的地であるダンジョンにたどり着いた。
このダンジョンでは、数多くの金銀財宝がゲットできる代わりに強力なモンスターも多数出現する、らしい。財宝をゲットしてホクホク顔の冒険者が、強いモンスターに遭遇して絶望する、ここまでがワンパッケージになっているから、この名前がつけられているらしい。
俺は正直、冒険者としては半人前だ。特に何の結果も残せていないただのペーペーだ。しかし、俺が独自に手に入れた情報である、このダンジョンの存在はとても大きなアドバンテージだ。
このダンジョン内で結果を残すことができればそれによって名を残せるかもしれないし、そうでなくても俺はこのダンジョンでゲットした財宝達で自分の強化も可能なのだ。
だからこそ、俺はこのダンジョンで絶望せずに必ず生きて帰る、ただそれだけだ。では、行こう。覚悟はとうの昔に用意できている。
❇︎
「うぉう、これが財、宝……!」
ダンジョンに入った俺を早速出迎えてくれたのは一面に広がる金銀財宝だった。
なるほど、これが挑戦者に対する誘惑と言うわけか。目の前に広がる光景が正に欲望そのものだな。それでその後に絶望が待っている、と言うわけだな。
愚者は失敗から学び、賢者は歴史から学ぶ。そして俺は賢者にならなければいけない。
そもそも、入ってすぐに財宝があるならば、そのまますぐに持って帰れそうなものだ。それなのに持って帰れていないと言うことは、つまり……
俺は後ろを振り返った。するとそこには先ほど自分が入ってきた入口が跡形もなく消えてしまっていた。
そう、ここから出るには何かしらの条件が必要だと言うことだ。財宝を手にするのはその条件が明確になってからでも遅くはない。
そしてその条件はおそらくこのダンジョンのボス、ダンジョンマスターとでも言おうか、その存在を倒さなければいけないのだろう。
よし、ではその存在を探しに行くとしよう。うむ、大丈夫だ。私ならできる。いくらうだつの上がらないプレイヤーだったとしても。それも今日で終わりだ。
今日、一皮剥ける俺に障害物などないのだ!
「ギャァああああ!」
むっ、出たな悪党よ、貴様がこのダンジョンを治めるマスターか。その首をかっきり、この私が成敗してやろうぞ、くらえ、必殺、、、
「エクスカリバー、エンシェント、ホーリースパーク、デストロイ、ファイナル、エクスぷr
ブチャ
俺は気づくと広場に転移していた。
あれ、俺はゲームの中で夢でもみていたのか? いや、でも夢にしてはリアルだったし、俺がむざむざと死んでいるのはおかしいな。
あれ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます