第691話 お茶目な魔王様


「え、えーっと、九つの依頼全て達成されましたので、こちらが報酬の合計千二百万円になります」


 俺が帰ってきた時は受付の人もまさか俺が一日でクリアできるとは思っていなかったのか、とてもビックリした様子だった。


 だが、今はもうどうにでもなってしまえという心境なのか、目が虚になった状態で対応してもらっている。


 だが、不味いな。これでも。まだ千七百万しか貯まっていない。これはだとあと二、三回は全軍で突撃しないといけない。


 でも、それをしてしまうと少し目立ってしまう可能性があるのだ。前もあったが、他のプレイヤーから攻撃されてしまうということもあり得るのだ。


 じゃあ、なんでさっき行かせたのかよ、って言われるかもだが、それは単に失念していただけだから、仕方がない、うん。


 だから、別の方法を探すか、俺一人で頑張るかなのだが……


「すみません、私、お金が必要なんですが、何かいい方法はありませんかね?」


 俺は思い切って受付の人に聞いてみた。え、自分で頑張れ、って?


 嫌だよそんなの大変じゃん。それに受付の人に聞けば二倍の脳が使えるから良い案が出るかもしれないし。


「ま、まだお金がいるんですか!? あっ……すみません、失礼いたしました。では、ダンジョンに行ってみるのはいかがでしょうか? そこでは金銀財宝が多く眠ると聞いております。コレだけの依頼を一人でクリアできるのであればそちらへ行ってみるのもアリではないでしょうか?」


 だ、ダンジョン、だと? それは今まで考えてもみなかったな。だが、確かにダンジョンといえば金銀財宝のイメージはある。


 よし、これは良い情報を貰ったようだ。ちょっくらダンジョンで一攫千金といきますか!


「あ、すみません、近くのダンジョンってどこにあるんですか?」


「あっ、地図をお渡ししますね、一番近いのはこの巌窟ダンジョンになります。御武運をお祈りしております」


「すみません、ご丁寧にありがとうございました。では、逝ってきます」


 そう言って俺はギルドを後にした。


 あ、そういえばだが、今思うとここのギルドって珍しく受付が女性だったな。俺が来てない間に何か変わったのか?


 それとも元々女性の人もいて、今回たまたま遭遇しただけなのだろうか?


 まあ、いいか。今はスキル獲得に向けて、ダンジョンで乱獲することだけを目標に据えて前進するのみだ。


『ハーゲン! 俺を目的地へと連れて行ってくれー!』


 え、自分の足でいけって? 嫌だよ面倒臭い。それに自分で行って迷ったらどうするんだよ、時間が勿体無いだろ?


 得意なことは得意な奴に任せればいーの。コレ大事、なぁ、ハーゲン?


『ご主人様、お言葉ですが、地図くらいは読めた方がいいかと……』


 は、う、うるせー! ってか、念話オンになってたのか? 不味い、怒りとかよりも単純に恥ずかしいぞ、おい!

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